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福山 敏和氏 クボタ 経営企画部長
写真●福山 敏和氏 クボタ 経営企画部長
(写真:福島 正造)
 

 システム構築を任せるITベンダーには、顧客の業務をもっと深く理解してほしい。情報システムへの投資は、企業にとって一過性のものではない。将来的に事業戦略に沿って機能を拡張したり、改修やバージョンアップを実施したりする場面が必ず出てくる。

 だからこそ、先を見越して、システムを設計することが重要な意味を持つ。そのためにも当社の事業内容や戦略、業務の進め方などをきちんと理解してもらいたいのだ。

 ところが現状は違う。残念ながら出来上がったシステムの使い勝手が良くないなど、現場のニーズに合わないことが少なくない。

 それだけではない。システムの全体最適化を図りたいのに、部分最適に走ってしまうこともある。

 こうした事態に陥ってしまうのは、ITベンダーの担当者と利用者である現場とのコミュニケーションが十分でなく、本来なら手段であるシステムの導入が目的化してしまうからではないだろうか。

 このような状況になるのは避けたい。そのため外部のITベンダーではなく、どうしても「あうんの呼吸」で話のできるシステム子会社に開発を任せることが多くなる。外部の企業も使いたいのである。

 外部のITベンダーに仕事を任せれば、他社の業務改革の経験も豊富だろうから、そのノウハウを当社のシステムにも生かしてもらえそうだとの期待が持てる。業務効率の改善やコスト削減効果を分かりやすく示してくれる提案があれば、経営陣の理解を得やすい。

 だからこそ外部のITベンダーにも提案を依頼して、公平に評価している。しかし、当社の意図を汲んでくれる提案が、なかなか出てこない。

 もちろんITベンダーだけの問題ではない。要件が十分にまとまっていなかったり、RFP(提案依頼書)の内容が分かりにくかったりと、当社にも責任の一端はあるだろう。

 だからといって「ユーザー企業が悪い」「要件をまとめる力が足りない」と切り捨てるのではなく、一緒に考えてほしい。それがソリューションプロバイダだと思う。

 当社は20年ほど前にIBMのメインフレームを導入したが、当時のベンダーは顧客の業務を深く理解していた。それと比べると、最近は業務との“距離”を感じる。

 オープン化が進んで競争が激しくなり、昔ほど顧客1社に手間をかけられなくなったのかもしれない。本来なら顧客の懐に入って理解を深めることが優れたシステムの構築につながり、顧客の満足度を高めていたのではないだろうか。

 売上高の半数を占める海外では、日本発のグローバル企業としてのニーズを理解して具現化してもらいたい。今後、我々は海外拠点への支援体制も発注先を選ぶポイントにする。かつて欧州の販売会社にERPパッケージを導入する際、苦い経験をした。

 日系ベンダーに運用を任せたもののトラブルが続き、日本の担当者に対応してもらったことがある。こうした苦労はしたくない。(談)