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講演するエーピーシー・ジャパン 商品企画部 担当部長の佐志田伸夫氏
講演するエーピーシー・ジャパン 商品企画部 担当部長の佐志田伸夫氏
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 「データセンターの省電力化を実現するには,ラックの中にサーバーや電源装置,空調装置などの標準モジュールを,必要に応じて格納していくライトサイジング方式が決め手になる」――。2008年3月13日に開催された「グリーンITフォーラム2008 Spring」の講演で,エーピーシー・ジャパン 商品企画部 担当部長の佐志田伸夫氏はこのように語った。

 エーピーシー(APC)は,UPS(無停電電源装置)をはじめ,データセンター向けの空調装置や冷却装置などを提供。データセンターの電力問題にも早くから対応し,エネルギー効率の評価手法の標準化や省電力技術の開発に取り組む業界組織「Green Grid(グリーン・グリッド)」にも参加している。

 「3年間サーバーを稼働させると,サーバーの購入代金よりも,サーバーや空調,冷却装置などによる電力コストのほうが高くなることもある。データセンターのグリーン化は,CO2削減によって地球環境に貢献するだけではなく,コストダウンによって収益改善に直結する」と,佐志田氏は説く。

 続いて同氏は,データセンターの設備のエネルギー効率(DCiE)を改善するための2つの手法に話を進める。

 まず1つ目が,設備を段階的に設置していく手法(ライトサイジング)。ビジネスを立ち上げる際には,必要最小限のITインフラだけを整備し,その後ビジネスの発展に応じて段階的に設備を拡張していくというやり方だ。

 「以前,10年間使ったデータセンターを調査したことがあるが,データセンター全体の容量に対し,実際の負荷率は40%ほどに過ぎなかった。設備過剰による無駄が生じているケースが案外多い」と,佐志田氏は指摘する。とは言え,データセンターを新設する際に,10年先など将来の稼働率を予測することは難しい。

 そこでAPCでは,「必要な時に必要なものを入れていく」というライトサイジング方式を推奨している。複数のベンダーのサーバーに対応するマルチベンダー型のラックに,モジュール式のUPSや冷却装置などを格納していく。「標準化されたモジュールを使うことによって,ビジネスの発展に応じた段階的な拡張を低コストで実現することができる」と,佐志田氏はライトサイジング方式のメリットについて話す。

 エネルギー効率を改善するもう1つの決め手は,冷却方法の見直しである。現在のデータセンターは,サーバー室の壁際に空調装置を数台置いて,フリーアクセスの床下から冷たい空気を送り出し,ラックの前面から背面に冷気を流すという「部屋単位」の冷却を行っているところが多い。この場合,部分的に高温な個所(ホットスポット)を効果的に冷却することが難しい。

 これに対してAPCでは,「ラック列単位」での冷却を行う「InRow Cooling」という手法を提唱している。ラックが並んでいる架列の中に冷却ユニットを組み込み,ラック背面からのIT機器の排熱を冷却ユニットが吸い込むようにする。このため冷気と熱気が混ざらず,冷却効率は大幅に向上する。

 「気流の循環経路が短いため,送風ファンの消費エネルギーが従来の部屋単位の空調の半分以下になる。また発熱量の大きいラックを集中的に冷却できる」と佐志田氏は話し,InRow Coolingがエネルギー効率の高い冷却方法であることを強調する。

 例えばラック40本,年間の消費電力量264kWのデータセンターにInRow Coolingを導入した場合,初期投資+ランニングコスト(電力,保守)の合計額は,従来に比べ1年目で最大26%削減,5年目で最大33%削減できるという。

 最後に佐志田氏は,今すぐにでも実行できる省エネ対策について紹介した。「空調機器の省電力モードを設定したり,空調機器の配置を変えたりするだけでも効果はある」(同氏)と話し,データセンターのエネルギー削減をトータルに支援していく意欲を見せた。