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 日本ではあまり知られていないが、インドの大手ベンダーも、中国での人材採用に積極的だ。中国の南部を中心に開発拠点を構え、インドのバックオフィスとして位置付けるケースが多い。

写真1●インフォシス(中国)の林徳茂 主席執行官執行董事
写真1●インフォシス(中国)の林徳茂 主席執行官執行董事
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 人材が豊富とされるインドの企業が、なぜ中国に進出するのか。インフォシス・テクノロジーズ中国の林徳茂 主席執行官執行董事は「将来の人材枯渇への危機感から」と断言する(写真1)。インド国内では「欧米系ベンダーの進出もあり、優秀な技術者を採用しくくなっている」(同)という。

 別の狙いもある。中国を有望市場ととらえ、中国でのビジネス獲得を見越した準備という側面だ。技術者の人件費は、「インドと上海ではほぼ同じ」(同)。コストは削減できないが、それでも年率30%以上の成長を続けるためには、中国市場の開拓は不可欠と考えている。

インド人が中国人の講師役

写真2●中国・上海の開発拠点で中国人技術者を指導するインド人マネジャ
写真2●中国・上海の開発拠点で中国人技術者を指導するインド人マネジャ
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 インフォシスはすでに、中国に800人の技術者を抱えている。上海に700人、杭州に100人である。3カ月に100人のペースで増え続けているという。800人のうち15%弱が外国人。インド、マレーシア、オーストラリア、フィリピンの技術者だ。海外からの人材が、インフォシス流の開発方法論やプロセス、仕事の進め方を中国人の若手技術者に教育する講師役である(写真2)。

 現時点で、中国拠点はインドほどの技術的な実力はない。請け負う仕事は、プログラミングと単体テストが中心だ。海外から呼び寄せた講師たちの指導によって、「中国人技術者が担当できる工程の範囲を少しずつ広げていく」(林氏)。

「20位の学生を1位レベルに育てる」

 インフォシスが中国における人材採用で苦労しているのは、IBMやアクセンチュアなどの米国企業と比べて、知名度や人気で劣る点である。もちろん、こうした点は覚悟の上。中国に限った話ではない。ここでも、欧米系のITベンダーと世界で伍するためのインド・ベンダー流の戦法がある。それは、2番手集団を大量に採用して一流に育て上げることだ。

 例えば100人の学生がいて、成績が上位の5人を米国企業がさらうとする。ここでインフォシスは、そのすぐ下につける6位~20位の学生を採用する。この層の人材に、インド流のシステム開発手法を叩き込んで、一流に仕立てるのだ。林氏は「相対的に2番手というだけで、実際は極めて優秀な人材層。しっかりと体系立てて教育を施せば、すぐ1番手を抜く」と強調する。

 中国の代表を務める台湾人の林氏は、米国に18年滞在して米国のITベンダーでソフト開発関連の仕事に従事した経歴の持ち主だ。その後中国で12年の業務経験がある。インフォシスは、米国と中国を知り尽くした人材を幹部に据えて、中国でのさらなる採用強化と事業拡大を加速させる。


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