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安田 守(やすだ まもる)
鈴木 昌人(すずき まさと)
政田 敏和(まさだ としかず)
東野 孝也(ひがしの たかや)

野村総合研究所 生産性向上推進部

 現場の活力を高め,自発的な,着実な,良いスパイラルを作り上げる。これが現場力の向上である。経営者からの一方的な指示では実現できない。現場のマネージャが権限を持ち,自発的に動く必要がある。また,担当者の知識や経験,団結力,技術力,コミュニケーション力,自立的な活動も欠かせない。

 野村総合研究所(NRI)では,そうした力を高めるために現場が自発的に取り組んでいる施策がたくさんある。開発,保守,運用の三つの側面から,一部を紹介しよう。ここに挙げたチェックシートを参考にしながら,自分が働く現場の力をチェックしてみてほしい。また,自分たちでもチェックシートを作ってみてほしい。

Check Sheet 01 開発編

 リスクを早期に発見し,解決することが開発時の最重要課題である。目先の課題だけをつぶしても,後工程で想定外の問題にぶつかることが多い。下の図は,潜在リスクを早期に洗い出すチェックシートである。過去の失敗経験を基に,どこの工程にどのような内容のリスクが潜んでいるのかという情報を蓄積し,リスト化したものだ。自分のプロジェクトについて,試してみてほしい。

 使い方は,以下の通り。まず,リスク原因に挙げてある各項目の「発生確率」を3段階から選択する。そこに示された係数(0.7,0.5,0.3)を,あらかじめ定義された影響度と掛け合わせたものがリスク評点となる。項目ごとにリスク評点をレーダー図にすると,そのプロジェクトで何が大きな潜在的なリスクかが一目で分かる。

 NRIで実際に使っているチェックシートには全部で64個の項目があり,1時間程度で結果を算出できる。各工程のレビュー時に,ここで洗い出したリスクの状況をチェックしている。最近では,過去と同じ失敗はかなり撲滅できたと考えている。サンプルを参考に,それぞれの現場に即した項目を独自に追加していくのもよいだろう。

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(レーダーチャートはイメージ。算出した値を基に,このような感じでグラフを作成する)

Check Sheet 02 保守編

 保守の問題は,ノウハウが現場の特定のメンバーに集中して業務量にばらつきが出たり,メンバーのローテーションができずチームが硬直してしまったりすることだ。保守の現場力を磨くには,既にあるノウハウ(暗黙知)を体系化,明文化し,全員で共有するのがよい。

 併せて,誰が何をどれだけやっているのか,自分たちの業務を定量的に把握する。自分たちで課題を洗い出し,定量的な改善目標を設定する。改善の結果は,自分たちが恩恵を受けるものでなければならない。

 NRIでは,各現場のノウハウや改善の成果を共有するために,成功事例を発表しあう場(エンハンスメントソリューションを楽しむ会)を月次で開催している。ここでの成果などを基に,保守の状態を診断する「アセスメントシート」を作成した。

 下の図はその抜粋である。シートの問いにYes/Noとチェックしていくと,その保守現場の弱点が浮かび上がる。これを基に,自分たちのノウハウを盛り込んだアセスメントシートを独自に作成してみてはいかがだろうか。

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Check Sheet 03 運用編

 24時間365日稼働,開発言語や基盤の多様化に伴う障害対応業務の難しさ,パッチ適用,部品交換,バックアップなど,運用の現場は煩雑で統一し難い膨大な量の業務をこなさなければならない。NRIでは,業務の見直しや運用基盤の標準化に取り組んでいる。

 その一例に「運用べき・べからず集」の作成と展開がある。これは運用担当者が,日々発生している問題を洗い出し,それを反面教師として,“べき”あるいは“べからず”というチェック項目にまとめたものである。

 右上の図は,「運用べき・べからず集」からエッセンスを取り出して,“運用するのに人手が掛かっている度合い”をチェックできるように整理したものである。使い方は,ここに挙げた10項目についてそれぞれ「そんなことはしていない,そうなっていない」「どちらとも言えない,該当しない」「そうしている,そうなっている」の三つから選択するだけ。各項目に示された0~2ポイントを合計すると,人手によるかどうかの度合いが算出できる。意外に人手による作業が多いのではないだろうか。

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