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 スーパーSEやトップ営業を“求める”企業は不幸である。ふと、こんなことを考えた。企業にとっては得難い存在ではあるが、これらの人材に頼って、業績の拡大や不振からの脱出を実現しようと考える企業は不幸だということだ。

超人を求めるのは願望の裏返し

 記者は2008年1月から、ソリューションを提案する専門家向けの専門誌である「日経ソリューションビジネス」に所属している。実は5月26日に「日経ソリューションビジネスフォーラム2008春」と題したセミナーを開催する。

 目的はソリューションプロバイダのビジネスや個々の営業担当者の成功に有用な情報を提供することだ。できればセミナーという形式を生かして、雑誌では難しいことも可能にしたい。

 セミナーのテーマに何を選ぶべきか、ソリューションプロバイダにとって不可欠な存在とは何か、編集部の2人の副編集長と議論を重ねながら思案する中で、浮かんできたのが冒頭の言葉だった。

 ソリューションビジネスの世界では、ずば抜けた成績を上げる営業担当者を「トップ営業」と呼ぶ。単に稼働させるだけではなく、企業が本当に望んでいるシステムを開発できる技術者を「スーパーSE」という。難しい大規模開発プロジェクトを成功に導く技術者を、スーパーSEと呼ぶケースもあるだろう。

 企業にとって業績は水物だ。思うように業績が伸びず苦しんでいる企業や経営者が、特効薬としてスーパーSEやトップ営業を求めるのは自然なことに思える。スーパーSEやトップ営業が不要だと言っている訳ではない。1人で数人、状況によっては数十人に値する成果を実現する“超人”が企業にとって悪いものであるはずがない。

 ただ残念なことに、誰でもがトップ営業やスーパーSEになれる訳ではない。どんな企業を探しても、ほとんど存在していないというのが実情だ。望んだからといって、すぐに誕生するものではない。

 ただやみくもにスーパーSEやトップ営業が現れることを期待しても、状況は打開しない可能性が高い。むしろこういった企業は、無い物ねだりを続けているのに近いのではないだろうか。かといって、罵声や無意味なしごき、過度の期待からトップ営業やスーパーSEが誕生するはずもない。実際には、不幸な個人が増えるだけではないか。

 だから「スーパーSEやトップ営業を“求める”企業は不幸である」と考えたのである。ドイツの劇作家として知られるブレヒトの言葉に、「英雄のいない時代は不幸だが、英雄を望む時代はもっと不幸だ」というものがあったと思う。正確には、この言葉から連想したというべきかもしれない。

企業を救うのはチームやマネジメント

 現実には、いつ現れるのか分からないトップ営業やスーパーSEに期待するのではなく、ありのままを受け入れた上で業績を改善させるために努力している企業も多い。個人の力に頼るのではなく、組織の能力を高めることで向上させることで、企業全体の実績を高めようと考えているわけだ。

 これらの企業の方針を表現するとすれば、トップ営業に対して「チーム営業」、スーパーSEに対して「プロジェクトマネジメント」という言葉になるだろうか。

 大規模な営業案件やシステム開発プロジェクトには数多くの人間がかかわるのが一般的だ。優れた個人にだけ依存するのでなく、迅速で正確な情報共有や的確な役割分担、教育やOJTを通じた人材の底上げによって企業としての力を高める。そのためにはITを利用したツールを有効に利用する。

 日経ソリューションビジネスは4月に、「強い営業はチームで動く」と題した書籍を発行している。これは自らもチーム営業を実践しているアスクラボの川嶋謙CEOが執筆したものだ。書籍の出版後、川嶋CEOにお目にかかる機会があったが、同氏からも「情報共有」や「モチベーション」、「役割分担」といった点に関連して、チーム営業の有効性についてさまざまな示唆を受けた。

 もう一つ、面白い話がある。日経ソリューションビジネスの大山副編集長によると、「ある大手システム・インテグレータについて、トップ営業の鞄についての取材を申し込むと、『当社は個人ではなくチームで営業を進めています』という理由で必ず断られる」というのだ。この大手インテグレータは好調な業績で知られる。

 もちろん、この方法が完璧だというつもりはない。営業担当者であれ技術者であれ、組織的に力を向上させるのには時間がかかる。組織的に力を向上させるためにかかる手間とコストも無視できない。またどんな企業でも必ず組織力を向上させる正解があるわけでもない。

個人と組織を巡る難問の一つ

 トップ営業やスーパーSEの存在こそが、企業の成長には欠かせないと考える方もいるだろう。組織の力を高めているつもりで、実力ある個人が存分に実力を発揮できない環境を生み出しているとすれば、大きな問題である。

 どちらが企業にとって重要なのかは、答えの出ない難問といえる。ただ、いずれの立場の方にとっても有用なセミナーを企画したつもりである。

 セミナーの話に戻るが、思案の結果、「日経ソリューションビジネスフォーラム2008春」で取り上げるテーマの一つを、「営業効率・売り上げ増を実現させるチーム営業の極意」とすることに決めた。関心のある方は是非、ご参加をお願いします。

 なお「日経ソリューションビジネスフォーラム2008春」では、「一歩進んだアカウントプラン作成術」と「徹底解説・待ったなし!工事進行基準・完全対応」というテーマのセミナーも開催する。こちらについても関心のある方はご参加を検討ください。