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写真●ASUSTeK Computerの「Eee PC」
写真●ASUSTeK Computerの「Eee PC」
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 「ULCPC」という言葉をご存じだろうか。ITproサイトのキーワード・ページにもこの4月に加わった比較的新しい言葉で,「ultra low-cost personal computer(超低価格パソコン)」のこと。おおむね500ドル以下のパソコンを指しており,具体的には,台湾ASUSTeK Computerの「Eee PC」(写真),台湾First International Computerの米国子会社Everex Systemsの「CloudBook」,米Intelの「Classmate PC」,そして非営利団体One Laptop per Child(OLPC)の「XO」に代表される小型パソコンの新しい総称として定着しはじめた。

 このULCPCが興味深いのは,最近急激に海外メディアで取り上げられるようになったこと。これらパソコン・メーカーだけでなく大手各社のULCPC関連の動きが活発になっており,連日のようにニュースが流れている。ULCPCは,今最も注目されているパソコンの新ジャンルと言ってよいだろう。

MSがXPの延命を決めた理由

 前述のITproのキーワード・ページでも解説しているように,このULCPCという言葉は,Microsoftが2008年4月3日に出した広報発表資料の中で使われた(関連記事:Microsoft,超低価格ノートPCのメーカーに「Windows XP Home」を販売へ)。Microsoftが,パソコン・メーカー向けにWindows XPのOEM供給を行うというのがその発表内容だ。Windows Vistaへの移行を促進したいはずのMicrosoftがXPの延命を決めたわけたが,その条件としてMicrosoftは供給先のパソコンをULCPCに限定した。

 その理由は後になって明確になった。 例えばNetwork Worldは4月22日付で,MicrosoftのCTO(最高執行責任者)のKevin Turner氏へのインタビュー記事を掲載しているが,その中で同氏は,MicrosoftがULCPC市場に大きな可能性を見ていると説明している。「我々は,ULCPC市場を真剣にとらえており,この市場に本格参入することになる。今後この分野に多くの時間を費やしていく」(同氏/Network Worldの記事)。

 Microsoftは発表資料の中でULCPCを,「一般的に画面が小さく,処理能力の低いプロセサを採用し,低価格を実現している製品」と定義している。つまり,Vistaを走らせるには力不足なパソコンだ。そして低価格化のためにメーカー各社が採用しているOSが,Linuxなのだ。そうしたULCPCが今,爆発的に売れている。Microsoftはこの状況を静観してはいられない状況なのだろう。

「Vista開発の5年間,変化に気付かなかった」

 前述の発表資料の中には次のような文言があった。「(Microsoft)は当初,ULCPCを新興成長市場で初めてパソコンを購入する人や学生を対象とした製品ととらえていた。しかし現在は,先進国においても手ごろな価格の機器への需要があると見ている。当社はこの新たなパソコン・ジャンルに注目している」(発表資料)。

 つまりTurner CTOの発言はこの言葉からさらに一歩踏み込んだものになっていることがわかるだろう。Network Worldの記事によると,ULCPCは発展途上の新興市場のほかに政府機関や教育市場で高い成長が見込めるという。ULCPCは,低料金のネットワーク環境,オンライン・サービス,クラウド・コンピューティング環境が充実してきたことで誕生し,今急速に普及している新しいカテゴリ。こうした需要を支える基盤が着々と成長していたことに,Microsoftはこの5年のVista開発期間に,まったく気付いていなかったという。

 「パーソナル・コンピュータの分野では,処理能力と処理速度が絶えず向上していくというモデルがずっと続いてきた。しかしパソコンは十分高性能なレベルにまで達した。低価格パソコンへの支持が高まるにつれ,これまでのビジネスモデルは衰退していくのだろう」――。記事はこう締めくくっている。