PR

 2008年4月14日,「帯域制御の運用基準に関するガイドライン検討協議会」が作成した「帯域制御の運用基準に関するガイドライン案(以下ガイドライン案)」に対する意見募集が締め切られた。このガイドライン案は,P2Pファイル交換ソフトの利用拡大などにより一部の利用者によってインターネットの帯域が占有される事態を解決するために,インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)が帯域制御を行う場合の運用ルールをまとめたものである。

 総務省の「ネットワークの中立性に関する懇談会」がまとめた最終報告書の指摘を受け,電気通信事業関連の4団体(日本インターネットプロバイダー協会,電気通信事業者協会,テレコムサービス協会,日本ケーブルテレビ連盟)が2007年9月に検討協議会を発足させ,事業者の自主的なルールとしてガイドライン案を作成した。検討協議会の関係者によると,今回の意見募集には約30弱の意見が寄せられ,帯域制御に対する厳しい意見もあったという。しかし,それよりもこの関係者が驚いたのは,ガイドライン作成によってISP各社が一斉に帯域制御を実施することを懸念する意見が想像以上に多かったことだった。

 この関係者は,「帯域制御は原則的に実施しないのが望ましいというのが検討協議会の立場で,ガイドラインの中で何度も説明している」とし,ガイドラインはISP各社に帯域制御を推奨するものではなく,その作成を機に帯域制御が一斉に始まるというのは誤解と強調した。また,最終的にこのガイドラインを順守するかどうかもISP各社の判断に任されており,強制力はないという。

 ガイドラインでは帯域制御について,「一定の合理性がある場合にのみ認められる限定的な手法」と位置付けたうえで,ネットワークの安定的運用のために帯域制御を行う場合でも,ISPによる恣意(しい)的な運用や電気通信事業法第4条「通信の秘密」の原則に抵触しないように,具体例を盛り込みながら制御についての考え方を示している。制御の目的に正当性があっても制御を行うことに正当性が認められないケースとして,(1)特定アプリケーションによる通信の遮断,(2)同程度のヘビーユーザーへの制御の度合いが異なる場合,(3)特定のコンテンツプロバイダーのトラフィックに制御を行うこと──の3点を挙げ,こうした制御は問題があるとしている。

 検討協議会は今回寄せられた意見を精査し,5月中旬には結果を公表する予定である。また,今後も動画コンテンツの増加による帯域利用の変化や,P2P技術をネットワークの効率的な利用に生かした新しいサービスへの対応,ネットワークのコスト負担の公平性といった観点から論点の整理を行い,市場環境の変化に合わせて定期的にガイドラインを見直す方針だ。