PR

 実はサーバーなどは、わざわざ省電力型の機器を使わなくても、最新機種に切り替えるだけで大きな節電効果が見込める。数年前の機種に比べると、最新機種はほぼ同じ消費電力で、性能が大幅に向上している。「サーバーの処理内容によってはこれまでは複数台で分担していた処理を1台でこなせるようになる。結果として消費電力を大きく減らせる」(日本IBMでグリーンITの啓蒙活動に従事する佐々木言エバンジェリスト)。

 前述したみずほ銀行のサーバー統合はまさにこのケースである。インターネット・バンキング用などに使っていたUNIXサーバーなど131台を8台にまとめ、電力コストだけでも年900万円を節約した。

 拠点に設置した古いファイル・サーバーを新しい高性能機に統合するような場合でも大きなコスト削減が期待できる。一般に統合対象のサーバーが多いほど、電力コストを大きく減らせ、グリーンITにつながる。

 全国に点在する50台のファイル・サーバーを、本社に置いたブレード・サーバーに統合するケースを考えてみよう。NECによると最新のブレードなら10枚もあれば、3~4年前のファイル・サーバー50台分の処理が可能という。

 このサーバー統合を実施すると、年間の消費電力は約3万4000kWhと8割も減る。電気代に換算すると、約270万円の節約となる(図5)。試算に使ったブレード・サーバーの価格は一式で約2000万円。このほかサーバー統合には拠点と本社の間を高速ネットワークで結ぶコストも必要になるが、グリーンIT効果は大きい。検討に値するユーザー企業は少なくないだろう。

図5●古いファイル・サーバーを新しい高性能機に統合すると、数百万円の電力コストを削減できることもある
図5●古いファイル・サーバーを新しい高性能機に統合すると、数百万円の電力コストを削減できることもある
旧サーバーは実測値が不明なため、カタログ値の8割で計算。ブレード・サーバーの消費電力は、NECのシミュレーション・ツールを使って算出した。電気料金は、1kWhを20円で算出した。実際には、SI費やストレージ構築費、仮想化ソフトを利用する場合はそのライセンス費などが、別途必要になる。
[画像のクリックで拡大表示]

 このところの仮想化技術の普及により、最新サーバーの処理性能を生かしたコスト削減は、いっそうやりやすくなっている。仮想化というと、PCサーバー用の仮想化ソフトにばかり注目が集まるが、中堅・中小企業が使うミッドレンジ・サーバーでも利用できる。

 日本IBMはミッドレンジ・サーバー「System i 570」が標準で搭載する仮想化技術を使って、自社のPCサーバー「xSeries 255」16台を統合したケースのグリーンIT効果を明らかにしている。サーバーの電気代が年240万円程度、空調コストは年320万円程度減らせるので、トータルでは600万円程度のコスト削減につながるという。

CO2削減はIT部門が牽引すべき
米フォレスター・リサーチ クリストファー・マインズ氏
米フォレスター・リサーチ クリストファー・マインズ氏

 グリーンITはガバナンス強化やセキュリティ対策と並んで、CIO(最高情報責任者)の重要課題になりつつある。実際に電力容量不足がデータセンター運営の足かせになりつつある上に、企業にとっては大きなコスト削減が期待できるからだ。

 サーバーやストレージの消費電力の増加によって、欧米ではデータセンターの電力容量不足が深刻になっている。供給する電力が足りないことが原因で、サーバーなどの増設に支障を来すケースも報告されている。これが現場レベルでグリーンITに取り組む動機となっている。特に米国では石油価格の高騰による電力不足が表面化しているだけに切実な問題だ。

 経営層にしても、グリーンITの取り組みによって電力コストを削減することは、大きな意味がある。いわばトップダウンのアプローチだ。経営層のコスト意識が強い欧州企業は、このような動機からグリーンITを推進しているケースが多いようだ。

 一般に日本企業ではCIO職が有効に機能しておらず、IT部門と経営の距離が遠いと聞く。だが、IT部門は企業内のさまざまな業務部門をつなぐ重要な部門。企業が地球温暖化対策に取り組む際も、強い影響力を発揮できるはずだ。

 製造ラインの消費電力を削減するよりは、情報システムをターゲットに消費電力を減らすほうがよほど簡単だ。さらにIT活用によって業務プロセスの改善に成功すれば、IT部門は各業務部門のCO2排出量削減に貢献したことになる。

 グリーンITの取り組みを推進することは、IT部門が社内のコストセンターから脱却し新しいポジションを得るチャンスとなるだろう。

 まずは大きなコストがかからない手法、つまり既存のシステムの電力管理を徹底することから始めよう。そしてその次のステップとして、システム刷新などのタイミングで、より消費電力の少ない機器を導入するシナリオが適切だろう。