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Forrester Research, Inc.
リズ・ハーバート シニア・アナリスト
ビル・マルトレリ プリンシパル・アナリスト

 最近、中小企業だけでなく大企業でもSaaSの採用が進んでいる。例えば「システムを短期に構築したい」「情報投資を早期に回収したい」「使った分だけの利用料金を支払いたい」といった目的を持っている。

 従来はビジネス・グループのユーザー(利用部門)が独自でSaaSを購入し、導入からアプリケーションの管理まで行っていた。ただSaaSをカスタマイズしたり既存アプリケーションと統合できるようになったので、最近ではIT部門が利用を拡大している。

 こうした動きのなかで、SaaSの導入を検討する際に注意すべき事が分かってきた(図1)。例えば、企業内にある既存システムとSaaSの統合だ。6割以上のユーザーが懸念している。現段階でこれはチャレンジだ。もともとSaaSはスタンドアロンのサービスとして始まったもの。また、利用部門が将来の統合プランをおかまいなしに勝手に導入してしまうというケースが多く見られる。利用部門が導入すると、専門ではないユーザーが重要データのアクセス権など大きな権限を持ってしまうという問題もある。

図1●SaaS導入への関心をなくす懸念事項
図1●SaaS導入への関心をなくす懸念事項
北米と欧州企業のIT部門に在籍するソフトウエア選定責任者に項目ごとに聞いた。調査時期は2007年第3四半期

身軽さゆえのサービスへの懸念

 事業者がSaaSの市場に参入するのは比較的簡単。裏返すと退出も容易でサービスを長期間にわたり利用することの担保が難しいということだ。

 データの保持などセキュリティ面は企業にとってリスク要素となる。SaaSの採用に後ろ向きな企業はデータのセキュリティを懸念している。フォレスターの調査によると北米では実に半数に上る(図1)。

 SaaS事業者の多くは大企業ユーザーの要求を満たすような障害対策を施していない。それには多額の投資が必要となるからだ。例えば、米セールスフォース・ドットコムのようなSaaS大手でさえ欧州エリアにデータセンターを依然として構えていない。さらに事業者によってはデータのリアルタイム・バックアップを施さず、最悪で24時間分のデータが失われることがある。データ流出のような事故が起きた場合、契約者は事業者に責任を認めてほしいと要求するだろう。しかし契約時にこれに同意する事業者は少ないのが現状だ。

 フォレスターの調査では、人事管理や情報共有、顧客管理でのSaaSの利用が普及していることが分かった(図2)。SaaSの利用に乗り出した企業は複数のサービスを利用する傾向も出ている。3つや4つのサービスを利用するケースがある。我々の調査ではSaaSを利用する大企業のうち18%が2サービス、22%が3サービス、28%以上が4サービス以上を利用していた。

図2●アプリケーションごとのSaaS導入率
図2●アプリケーションごとのSaaS導入率
北米と欧州企業のIT部門に在籍するソフトウエア選定責任者74人に聞いた。調査時期は2007年第3四半期

 このように複数のSaaS事業者を利用したり、よりミッション・クリティカルな用途で使うようになると複雑度が高くなって管理が難しくなる。フォレスターとしてはこうした状況下で、以下の点を推奨したい。