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 現在,省電力化の取り組みが最も進んでいるのは,何と言ってもデータ・センターだろう。中には,ホスティング・サービスなどで省電力対応をうたっているケースもある(表A)。

表A●仮想化などを採用し,省電力の環境を提供するデータ・センターのサービス例
表A●仮想化などを採用し,省電力の環境を提供するデータ・センターのサービス例

メリットはリソース・オンデマンド

 その一つがNTTコミュニケーションズ(NTTコム)が2007年12月に始めた「グリーンホスティングサービス」だ。米ヴイエムウェアのサーバー仮想化ソフト「VMware Infrastructure3」を使って1台のサーバーで複数のシステムを稼働させ,企業向けにホスティング・サービスを提供する。

 NTTコムの高橋純ITマネジメントサービス事業部サーバマネジメントサービス部基盤サービス部門担当課長は,「ユーザーごとにシステムを独立運用する場合でも,サーバーなどハードウエアの数を増やさずに済むため,省電力の効果がある」と説明する。

 仮想化技術によって複数の企業がITリソースを共有して利用できるサービスでは,伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の「IT統合基盤サービス」もある。CTCの唐木眞データセンター事業グループデータセンター技術戦略室兼データセンター事業戦略企画室室長補佐は,「サーバーやネットワーク機器の台数を減らすことで,通常のホスティング・サービスに比べてCO2排出量を30%削減できる」と訴える。 

 これらのサービスのユーザーにとってのメリットは,仮想化によってサーバーやネットワークのリソースをオンデマンドで利用できる点にある。例えばCTC のサービスの場合,初期投資は不要で,最短1週間で仮想環境を利用できる。既に利用中なら,仮想化技術を使って短時間のうちにリソースを増減させることも可能だ。

 さらに,データ・センター事業者が設備コストを抑えられることから,サービスの料金が安価になる可能性もある。CTCの唐木室長補佐は,「サーバーもネットワーク・スイッチも複数の企業でシェアすることによって,通常のホスティング・サービスに比べて設置するラック数を減らせ,コストを削減できる」という。

「水冷」など施設全体を省電力化

 データ・センターの省電力化に向けた取り組みはサーバーなどの仮想化以外にもある。空調の使用効率を高めるなど,データ・センター施設全体として省電力化する工夫がそうだ。ユーザーにとって直接的にはメリットはあまりないが消費電力を抑えた分,将来的にはホスティング・サービスの料金が安くなるかもしれない。

 富士通は,2010年ころに開設予定の館林新システムセンターで,センサー・ネットワークで監視した電流と室温に冷却技術を連動させる「高度タスクアンビエント空調」を導入する計画を立てている。ほかにも水冷式の冷却ラック,高効率の空調設備などの利用を予定する。別のセンターでは,水素電池や太陽エネルギーなどグリーン・エネルギーの採用も検討している。

 サン・マイクロシステムズやインターネット・イニシアティブ(IIJ),ベリングポイントなど12団体は,「地底空間トラステッド・エコ・データセンター・プロジェクト」を発足し,高山掘削跡地などの地底空間にデータ・センターを建設する計画を進めている。

 地下100メートルの岩盤に,消費電力が小さくスペースを取らないサーバーを設置。年間を通じて15度前後の安定した室温と地下水を使った水冷によって,空調の消費電力を極力削減し,「電力効率を高め,自然の力を使ってCO2を削減する」(IIJの山井美和ソリューション本部副本部長兼ソリューションサービス部長)。

 データ・センターはグリーン環境を整えることによって,自らのCO2削減を抑える。ただ,それだけでなく,「企業ユーザーもCO2削減のために,環境対策をしている事業者にシステムを預けるのではないか」とする声もある。