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 「仕様書に書かなければ実装してもらえないのが当たり前だと肝に銘じるべきだ」。東芝の峯村センター長は、グローバル・ベンダーと付き合う際の心構えを説く。必要な備えの2つめは、仕様書などをしっかりとそろえ、仕様やプロセスを明確に伝えるようにすることである。

 東芝の場合、インドのグローバル・ベンダーと付き合い始めた2000年前後、システム開発がなかなかスムーズに進まなかった。仕様書の記述があいまいで仕様を理解してもらえないケースがあったのだ。開発プロセスや成果物の承認ルールが不明確だとも指摘された。「開発標準などは文書化していたが、グローバルの標準と照らし合わせると、改善の余地があった」(峯村センター長)。

 グローバル・ベンダーは通常、仕事を受ける際、顧客企業が普段使っている開発方法論と自社との違いを確認する作業から入る。インドの大手ベンダーの幹部は、「ほとんどの日本企業はこの作業でいきなりつまずく」と指摘する。東芝も例外ではなかった。

 ここから東芝のIT部門は奮起する。2001年に、ソフトウエア開発プロセスの成熟度を示す「CMMI」に準拠した独自のプロジェクト管理手法「QMSI」を整備。2005年にはCMMIレベル5を取得した。グローバル・ベンダーを使いこなすには、自らの仕事の進め方も世界標準に準拠しておくべきと考えて行動に移したのだ。グローバルで使うシステムの仕様書は日本人でも英語で書くなど、IT部門のグローバル対応が進んでいる。

 「仕様書の品質はシステムの品質に直結する。いいシステムを作ってもらうには、発注側がしっかり要件を書かなければならない」。東芝の峯村センター長は、実体験からこう説く。

プロセス構築にインド人を活用

 「初めてだったので、発注プロセスの整備や契約に盛り込むべきポイントが分からなかった」。みずほ情報総研の山本剛史グローバルデリバリー推進室長は打ち明ける。

 同社は2007年10月から、みずほ銀行(BK)とみずほコーポレート銀行(CB)の勘定系システムの保守を中国に移管するプロジェクトをスタートさせた。発注先は瀋陽に本社を置く中国最大手、東軟集団(NEUSOFT)である。日本語で仕事を進めたいので東軟を選んだが、グローバル・ソーシングの受注経験はインドのベンダーほどはない。

 そこで、みずほ情報総研は、インドのサティヤムに、契約内容やプロセス構築に関するコンサルティングを依頼した。契約前の2007年夏のことである。発注範囲や役割分担の明確化などはもちろん、仕事の成果を定量的にチェックする手段の確立、問題発生時のエスカレーション・パス、トップ同士の会議体の設置といった具体的な提案を受けることができた(図11)。

図11●海外に仕事を任せる際のチェックリスト
図11●海外に仕事を任せる際のチェックリスト
リスクや効果などの面から実現可能性を総合的に判断する必要がある
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