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NTTファシリティーズ
データセンター環境構築本部
中路 敏昭

 連載第2回は,データセンターの電源について取り上げる。従来,重要視されてきた信頼性(無停電対応)に加え,最近はグリーンITの流れの中,電源のエネルギー効率の向上やクリーンエネルギーへの対応が重要なテーマになっている。

なぜ,会社や家庭の電気は交流なのか

 電気には交流(AC:Alternating Current)と直流(DC:Direct Current)がある。私たちの会社や家庭のコンセントなどに供給される電気は交流である。なぜ,交流がこのように広く普及したのか。その答えを探るには,エジソンの時代までさかのぼる必要がある。

 トーマス・エジソンは,1879年の白熱電球の発明を足がかりに,ソケット,スイッチ,ヒューズなどを次々に発明。その3年後にはニューヨークに世界初の発電所を建設した。その際,エジソンが採用したのは直流給電方式だった。

 一方,ラジオや蛍光灯を発明したニコラス・テスラは交流給電方式を主張し,エジソンと対立した。当時の技術では直流電圧の昇圧・降圧は非常に困難だったため,高圧送電が可能で,電力ロスが少ない交流給電が結果的に採用された。実は,日本の電力事業も直流からスタートしたが,直流 vs 交流の議論の末,数年後に交流へ移行した。

 このような経緯から,現在では電力会社からの供給は交流になっている。したがって,電化製品やIT機器なども,交流入力が主流である。

データセンターの信頼性を支える電源の無停電化

 データセンターの電源に求められる最大の要件は,信頼性である。電子決済などオンライン取引の急増により,一瞬であってもシステムがダウンするとビジネスに大きなインパクトを及ぼす。したがって,IT機器及び電源のノンストップ化(無停電化)は非常に重要であり,データセンターでは通常,電源のバックアップ構成を基本にしている(図1)。

図1●電源のバックアップ構成
数ミリ秒~数十分間の短時間停電のバックアップとしては,交流系のUPSが主流。一方,数十分から数十時間の長時間停電のバックアップでは,非常用エンジンを起動して予備発電し,バッテリーに供給する

 バックアップ電源と一口に言っても,数ミリ秒の短時間停電に対処する場合と,数十時間に及ぶ長時間停電に対処する場合では構成が異なる。数ミリ秒~数十分間の短時間停電のバックアップとしては,交流系のUPS(無停電電源装置:Uninterruptible Power Supply),または直流電源装置を,バッテリー(蓄電池)と組み合わせることで対処する。

 一方,数十分から数十時間の長時間停電のバックアップでは,非常用エンジンを起動して予備発電し,バッテリーに供給する。この場合,非常用エンジンの起動失敗など不測の事態を考慮し,非常用エンジンをN+1構成(必要台数の他に,もう1台)とするデータセンターもある。移動電源車によるバックアップ体制を整えているところもある。

 このほか長時間停電には,ビルの法定点検や電気工事に伴う計画停電,電力会社の送電線事故などによる停電もある。こうした様々なケースがある中で高い信頼性を確保するためには,2系統受電や,ビル内配電系統を2重化することが重要である。