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クリーンエネルギーの有効活用が急務

 最後に,次世代のバックアップ電源システムについて見ていこう。

(1)直流電源の高電圧化
 前章で,直流電源装置では,ケーブルの電圧降下がネックになっていると述べた。この問題を解決するため,世界中で今,高電圧の直流システムが注目を集めている。

 高電圧直流とは,従来のDC-48Vよりも高い電圧,概ねDC300V~500VをIT機器に供給するシステムである。これにより電圧降下が少なくなるため,消費電力効率はさらに改善する。また,高電圧化で電流値が小さくなるため,ケーブル条数を少なくすることでコストも削減できる。電源装置をIT機器から離して設置できるようになり,設計に柔軟性が生まれるのも大きなメリットである。

(2)クリーンエネルギーの有効活用
 地球環境保護の問題,燃料費高騰の観点から,太陽光発電や燃料電池など,クリーンエネルギーによる分散電源の普及が進んでいる。2006年度末で,日本における太陽光発電の累計導入量は,1708メガワットに達する。それらの太陽光発電を電力会社の送電網と系統連系する場合,通常は太陽光発電から出力されるDC電圧をAC電圧に変換し,各機器へ給電する必要がある。

 ところがDC対応のIT機器が普及すれば,太陽光発電からの出力をDCのままIT機器へ入力することが可能になり,変換ロスを大幅に削減できるとともに,信頼性も向上する。クリーンエネルギーの普及と機器のDC化対応とは,一体化して取り組むべき省エネ対策である。

 実際,2004~2007年度に,太陽光,燃料電池などのクリーンエネルギーによる分散電源と系統電力を安定的かつ高効率に連系し,直流電力など多様な電力供給が可能なシステムの実証研究を,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託を受け,NTTファシリティーズなどが実施した(図7)。その一部として,NTTファシリティーズとインテルはデータセンター用高電圧直流サーバーを共同で設置,消費電力効率などの検証を行った。

図7●直流電力にも対応できる電力供給システムの実証研究を実施
図7●直流電力にも対応できる電力供給システムの実証研究を実施
太陽光,燃料電池などのクリーンエネルギーによる分散電源と系統電力を安定的かつ高効率に連系し,直流電力など多様な電力を供給できるシステムについて実証研究を行った。NEDOからの委託を受け,NTTファシリティーズなどが実施
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 運用試験ということで,暫定的に直流300Vを使用したが,国際的な電圧規格を整備していくことが今後の課題である。さらに,直流はゼロクロス(電圧がゼロになるポイント)がないため,高電圧の遮断方法の検討も必要である。

 直流からスタートした電力供給の歴史は,長い交流の時代を経て,今また,地球環境保護が重要視される中,直流へ回帰しようとしている。エジソンの主張は正しかったのか──証明される日は近いかもしれない。