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田中 陽一氏 パイオニア 経営戦略部情報戦略グループ統括
写真●田中 陽一氏 パイオニア 経営戦略部情報戦略グループ統括
(写真:中野 和志)
 

 当社は2000年に、グループ全体の情報システムの構築・運用をシェアドサービスの子会社に集約した。これを機に、ベンダーマネジメントを強化している。

 取引しているITベンダーをさまざまな指標からランク付けし、特に優れた数社を「ファミリー」と呼んでいる。ファミリーにできる限り多くのIT関連業務を任せている。ファミリーのA社は通信分野、サーバー運用はB社といった具合だ。

 その代わり、ファミリーには厳しい注文を付ける。コスト削減額や納期などに関する目標値を定め、達成するよう努力してもらっている。

 ITコストが高止まりしないよう、ファミリーを入れ替えることもある。そのために我々は、ファミリーの仕事ぶりを毎年評価している。

 ファミリーも含めての話だが、現在のSIerは、提案から構築、運用・保守まで、どの面でも頼れる企業が不足していると思う。特に不足していると感じるのが提案力だ。

 当社の意図や狙いを踏まえ、「的を得ているな」と思えるアイデアがなかなか出てこない。「当社の得意分野だけで勝負したい」「儲かるもので商売したい」といった、自社都合が透けて見える。当社にふさわしいソリューションがあったとしても、儲からないものなら提案できないのだろうか。

 仮想化の提案を求めた時の話だ。多くのITベンダーが、米ヴイエムウェア製品「VMware」を担いできた。他社での成功事例を引き合いに「コストを削減できます」と言う。だが現実には、「用途やユーザーの事情によって向き不向きがある」というのが我々の見方だ。

 確かに運用管理ルールを標準化できていないユーザー企業にとっては、運用管理ツールが充実しているVMwareは有効だろう。でも、運用手順を標準化できているサーバーを管理するには、OSS(オープンソース・ソフトウエア)の「Xen」がコスト面で優位だと思っている。

 OSSのXenは儲からないのか、提案できるITベンダーが少なすぎるように感じる。我々はXenを導入するため、ベンチャー企業をなんとか探し当て、構築作業を依頼した。さまざまなニーズに応えるため、VMwareだけでなく、Xenも手掛ける発想があってもいいのではないか。

 SIerに対する不満はまだある。最新技術に対するフォローアップもあまり期待できない。例えば、「SOA(サービス志向アーキテクチャ)」の実現を検討していて、複数のSIerの話を聞いたことがある。出てくるのはどこも同じような製品の説明と、一部にある先行事例の話ばかりだった。

 我々が聞きたいのは、技術や製品の本質的なコンセプトだ。それと、当社の状況を踏まえたうえでの導入メリットである。

 ITベンダーに期待してばかりではまずい。こう考え、当社は新しい技術や製品を検討する場合、他のユーザー企業と情報交換するように心掛けている。

 特に大手メーカー主催のユーザー会に、積極的に参加している。メーカー主催とはいえ、メーカー色があまりなく、テーマ別の研究会で有益な情報を得られるからだ。

 ユーザー企業との情報交換はメリットが大きい。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)システムを導入した際も、他のユーザー企業の話が大いに参考になり、満足のいくものが出来上がった。

 最新技術について、ITのプロを頼れないという現状は問題だろう。SIerへの期待値はどうしても下がってしまう。(談)