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 米Yahoo!は2008年5月末に「BrowserPlus」を公開しました。BrowserPlusは名前の通りWebブラウザに対して機能を追加します。BrowserPlus単体で動作するということではなく,ブラウザに対するアドオン/プラグインの一種だと考えられます。

 ただ一般的なプラグイン/アドオンのように,どのサイトのどのページでも機能が利用できるというものではなく,BrowserPlusの仕様を明示的に組み込んだページでのみ動作します。また当然ですが,BrowserPlusの仕様を組み込んだページにアクセスしても,BrowserPlusがPCにインストールされていなければ機能は使えません。

 新技術を公開したといっても,実はBrowserPlusはまだ完成品ではなく,執筆時点ではサンプル3点と,FAQを含む本当に少しばかりの情報を公開しているという,いわば「説明サイトを作っただけ」という状態です。APIあるいはSDKといった情報はほとんど開示されておらず,まだ実際に自分でサンプルを組んでみるといったことはできません。

 サイトの説明によると,BrowserPlusを利用すると,エクスプローラやデスクトップからドラッグ&ドロップでファイルをブラウザ上のフォームに入力したり,ページ・リロード無しでコンテンツ内容を更新するチャットといったことが可能になるようです。「なるようです」というのは,こうした機能が現状ではサンプルの説明でしか確認できず,また稼働するはずのサンプルが,執筆時点の筆者環境ではJavaScriptエラーで全く動作しないからです。

実はまだ「チラ見せ」の段階

 BrowserPlusのサイトを見ると,左上のロゴの下に「Sneak Peek」という文字が見えます(図1図2)。


図1●BrowserPlus公式サイト。現在は英語版のページのみです


図2●サイトのロゴの下には“Sneak Peek”の文字が…

 Sneak Peekというのは直訳すると「チラっと見せる」です。実は展示会などで一般公開日前にプレスなどに対して製品を事前公開することをSneak Peekと言います。「BrowserPlusが公開された!」という記事はあちこちのIT情報系サイトでも紹介されていますが,実際にはこれがSneak Peekなんだということにはあまり触れられていないようです。

 Sneak Peekであるということは,開発段階としてはベータ版以前です。ベータ版ならかなりバギーな代物だったとしても,少なくても動作はします。そのベータ段階までも進んでいないわけですから,正直なところ“まだ全然使い物にならない”可能性があるということなんですね。

 Yahoo!がSneak Peekの段階でありながらBrowserPlusを出してきた理由については,いろいろと憶測が飛び交っています。

 WebプログラムあるいはWebアプリケーションの世界ではGoogleが斬新な試みで先行していますし,FlashやSilverlightなどのRIAの台頭,そして例のMicrosoftによる買収問題なども関わっているのだろうと考えられます。「Yahoo!もここまでやっているんだよ」と言わなければいけないタイミングだったのでしょう。

 アナウンスによればBrowserPlusは開発を開始してから1年経過しているということになっています。もし本当に1年を経てSneak Peekという今の状態であるならば,開発の進ちょくの遅さを公言しているようにも思えますから,このタイミングでの公開は逆効果であるようにも思えます。新技術に飢えている開発者の目から見ると,勇み足にも感じられます。

 ただし,BrowserPlusの現在の完成度と,これが完成したときにどういう使い方ができて何の役に立つのかいうことに興味を持つことは次元が別です。そこで,今の段階で公開されている内容から,BrowserPlusのアウトラインを追ってみることにします。