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統合ID管理の市場で、低価格を売り物にした「LDAP Manager」が販売を伸ばしている。「機能は豊富だが、日本のユーザーには過剰で使いこなせていない」。先行製品の弱点をこう分析し、実装する機能を絞り込んだ。必要とされる機能を、実際に日本のユーザー企業から受注したSI案件を通じて洗い出していった。

 さまざまな情報システムへのログインをまとめて管理する統合ID管理ソリューションの市場が“倍々ゲーム”で伸びている。日本版SOX法などを背景に、IT統制を強化するユーザー企業が増えているからだ。

 この市場で今、気を吐いているパッケージソフトが、エクスジェン・ネットワークス(本社:東京・千代田区)の販売する「LDAP Manager」である。2007年度の販売ユーザー数は50社で、ミック経済研究所の調べでは250社だったマイクロソフトに次ぐ。同じく50社に販売した日本オラクルと並ぶ国内第2位につけている。低価格を売り物にすることもあり、国内出荷金額の順位は10位にとどまるが、出荷が2003年と歴史の浅い製品にしては健闘しているといえる。

 LDAP Managerは、2000年に創業したエクスジェンにとって初めてかつ唯一の自社製品だ。ベンチャーによる後発製品ながら、市場の一角を占めるまでに育った背景を、江川淳一社長は「外資系メーカーなど先行した製品の欠点を、反面教師にしたから」と語る。

 機能が豊富な先行メーカーの製品に対し、「機能を絞り込んで価格を抑えれば、ユーザーから支持される」(江川社長)。このコンセプトを具現化したのが、LDAP Managerである。

1万件の登録を2~3時間で

 「日本市場向けに機能を絞り込む」という江川社長の発想は、以前に在籍していた外資系セキュリティベンダーでの経験が原点になっている。営業として多くの顧客を獲得したが、「良い製品を売っても、その能力を引き出すSIの体制がおろそかで、歯がゆい思いをした」と江川社長は当時を振り返る。

江川 淳一●代表取締役
江川 淳一●代表取締役

 「セキュリティ製品を、ユーザーにフィットさせるSIサービスが必要だ」。こう痛感した江川社長はビジネスチャンスを見いだし、青柳正樹取締役などを誘ってエクスジェンを創業した。

 さらにエクスジェンで商談を何件か経験すると、「日本のユーザーに向けて、機能を絞り込んだセキュリティ製品が必要だ」と考えるようになった。その代表例が、“重厚長大”の外資系ソフトが次々と日本に投入していたID管理ソフトである。

 先行する製品は「機能は豊富だが、日本の一般ユーザーが使わない機能が多い。価格も高かった」(江川社長)と言う。

 エクスジェンに、自社製品開発のチャンスが到来したのは2001年のこと。ある電機メーカーから統合ID管理システムの構築を含む、セキュリティ案件を獲得したのだ。

 ユーザーからは、開発した統合ID管理システムを、パッケージとして外販する了解を得た。続く2002年には、ある私立大学から商談を獲得。先の案件で開発したID管理システムに、顧客から要望の上がった機能を加え、製品化のめどを付けた。

管理画面やAD連携に注力

 2003年に製品化した後も、LDAP Managerはすべて日本のユーザーからの要望を基に、機能を追加している。使い勝手にこだわった管理画面や、エンドユーザー向けの登録画面、AD(Active Directory)との連携、CSVファイルを使ったメンテナンス機能などだ。最新版では「日本のユーザーが求める機能は一通りそろった」と江川社長は語る。()。


図●従来製品を反面教師にしたLDAP Manager
図●従来製品を反面教師にしたLDAP Manager

 とはいえ、機能を絞り込むという精神は健在だ。一例が、業務システム側で不正なIDの新規登録などがないかをID管理ソフトが監視し、統一ポリシーを当てはめる「リコンシリエーション(調停)」という機能である。

 「リコンシリエーションのような高度な機能を使うと、管理が複雑になり、性能のボトルネックにもなる」(青柳取締役)と判断し、LDAP Managerには実装していない。

 機能を絞った代わりに力を注いだのが、1万件のIDを2~3時間で登録できる高速処理の実現である。顧客である大学から「入学が確定した新入生のIDを、一気に短時間で登録する必要がある」という要望を受け、速度向上に力を注いだ。

 価格も同社の強みだ。基本パッケージの無制限ライセンス料金(ユーザー数が3001人以上)は260万円。他社の半分から10分の1に抑えている。

青柳 正樹●取締役
青柳 正樹●取締役

 現在、LDAP Managerの販売パートナーは日本ヒューレット・パッカード(HP)やネットマークスなど9社。大半のパートナーが「LDAP Managerに加えて他社製品も担いでおり、『高機能か安価か』という二つの選択肢を顧客に示して、商談に臨んでいる」(江川社長)と言う。

 新たなパートナーの獲得にも意欲的で、内部統制商談が盛り上がる2008年度は、「前年比で2倍の100社のユーザーを獲得したい」と意気込む。