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 今後急速に変革を遂げると予想されるIPTV。アクセンチュアの通信・ハイテク本部 戦略グループ エグゼクティブパートナーの清水新氏は,大きく四つのステージを経てIPTVが進展すると予測する。典型的なSTB(セットトップボックス)を利用するVOD(ビデオ・オン・デマンド)の利用が進む「ステージ1」,多様な事業者によるSTBとは異なる,テレビとネットの連携サービスが登場する「ステージ2」,オープンなAPIにより競争と普及が進む「ステージ3」,そして,コンテンツやユーザーインターフェースの進化によってポータルサービスを組み込んだ,リビングルーム・エンタテインメントとなる「ステージ4」である(図1)。

図1●IPTV進化のシナリオ
図1●IPTV進化のシナリオ
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IPTVの普及にはコンテンツの充実が不可欠

 清水氏は,現在は2001年以来通信事業者主導でサービスが展開されてきたステージ1の段階が終わり,STBを超えた新しいサービスへと変革が始まるテージ2からステージ3の段階にあるという。ただし,イタリアのFastWebをはじめ既にIPTVが普及し始めている欧州に比べ,放送・通信の事業環境が異なる日本ではIPTVの本格普及はこれからの状況となっている。実際,4470万人といわれるビデオ鑑賞人口やレンタルビデオ加入者と比べると,約82万世帯とも推計されるIPTVサービスの利用者は極端に少ない。

 この理由を清水氏は,料金の高さとコンテンツの魅力不足,そしてSTBの設置の難しさにあると指摘する。確かに品ぞろえをみてもIPTVで視聴可能なコンテンツは,レンタルビデオ店と比べて圧倒的に劣っているのが現実だ。「IPTVを開く普及させるには,IPTVが様々な映像サービスを提供するポータルサービスになる必要がある」(清水氏)という。

IPTV普及のキーポイント

写真●セミナーで講演するアクセンチュアの清水氏
写真●セミナーで講演するアクセンチュアの清水氏

 テレビを取り巻くメディア業界の現状をみると,現状は民放キー局と広告代理店が強力かつクローズドなテレビ業界モデルを形成している。結果としてユーザーにとってクオリティーの高いコンテンツが無料で楽しめる状況であり,ユーザーは現状に満足している。

 一方で,インターネット経由のVODなどのコンテンツは内容が貧弱なうえに有料モデルが基本ということもあって,爆発的な普及に至っていない。しかし,清水氏は,人気コンテンツを含む魅力的なポータルや新たな広告モデルによって無料化が実現できれば,IPTVが既存のTV業界構造を変革できる可能性は高いとみる。

 清水氏はIPTVの普及には新たな価値の提供が必要とし, (1)ネット・CGMをテレビならではの楽しみ方で見せる,(2)直感的に使えるユーザーインターフェース,(3)オープンAPIを採用しインターネットの競争原理を導入することで,新しいサービスや使い方を生み出すIPTVプラットフォームの構築,(4)広告をマッチングして対象利用者に届けるAd engine──という四つキーポイントを挙げる。

 (1)について,米国ではインターネット動画プレーヤーとしてYouTubeが圧倒的な位置にあり,こうしたコンテンツをうまく取り入れる必要があるという。(2)のユーザーインターフェースについては,国内ではWiiやPLAYSTATION 3などのネット接続可能なゲームデバイス,米国ではAppleTVのポテンシャルが高いという。(3)については,現状のように自社とアライアンスパートナーですべての価値提供を行うのは限界があるため,開発者の規模を増やしたり簡単に開発できる環境を整えたりするなど,より多くのサービスが生まれる土台作りが必要とする。

 そして(4)については,米Googleが広告配信にオークションの仕組みを取り入れてテレビメディアを押さえにかかっている現状を挙げ,「ここまで来るとIPTVはもはやサービスではなくメディアとなることを理解し,勝者が圧倒的な勝ちを収める0か1かのインターネットビジネスの世界で,いかに他社に先駆けていち早くサービスを提供し普及させるかが勝ち残るためのカギ」と指摘した。

図2●テレビを取り巻くメディア業界の現状と今後のトレンド
図2●テレビを取り巻くメディア業界の現状と今後のトレンド