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 二つ目の仕様バグは「過剰」である。「要求を挙げていくと,100件から多いときで1000件くらいがリストアップされる」(クオリカ システム本部 第一事業部 Kプロジェクト推進部 部長 沖山英明氏)。その中には,「データの二重入力をやめたい」「新たな帳票が欲しい」「他システムと連携させたい」――といった要求が際限なく挙げられ,中には過剰と思えるものも含まれる。絞り込むにしても,むやみに減らすわけにはいかない。

 過剰な要求を絞り込むには,その要求が正当なものであるかをチェックし,優先度を考える。その知恵を見ていこう。

効果は期待できるか?

 優先度を考える切り口はいろいろあるが,「答えを出すことを焦ってはいけない。解決すべき問題がどこにあるかをきちんと理解した上でないと,本当に必要な要求の絞り込みはできない」(グローバルナレッジネットワーク 事業統括本部 技術教育スペシャリスト 井澤哲也氏)。

 パワーソリューションズの高橋氏は,洗い出した要求を整理するために業務内容分析シートを使っている。このシートで,業務にかかる標準時間や難易度を整理し,最終的には「労力」と「効果」を評価する(図7-A)。そうした上で優先度を見極め,優先度の高いものから順番に開発していく。

図7-A●根拠をもって要求の優先度を決める方法 1
図7-A●根拠をもって要求の優先度を決める方法 1
パワーソリューションズの高橋氏は洗い出した機能ごとに「システム化するための労力」と「システム化による効果」を設定し,開発の優先度を決める。業務内容分析シートで機能の優先度を決める
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要求は浮いていないか?

 要求全体をふかんして要求同士の関係を確認し,浮いた要求がないかと考えてみる。優先度を見極めるには,こうした方法も有効である。

 例えば,「要求を業務フロー図とヒモ付けて眺めてみるのが効果的だ」と,クオリカの沖山氏は言う。受発注業務の迅速化を図るシステムであれば,「承認のプロセス簡素化」「Webサイト上での受注」「二重入力の防止」「在庫チェックの簡易化」――といった要求はすべて一つの業務フローの中でプロセスに対応している。

 一方で「画面遷移のレスポンス向上」という要求は,この中では浮いた感じがする(図7-B)。浮いた要求はほかと関連しないので,とりあえず除外して考えることができる。

図7-B●根拠をもって要求の優先度を決める方法 2
図7-B●根拠をもって要求の優先度を決める方法 2
クオリカ 沖山氏のやり方。業務フローに沿って要求を並べると,一つの流れに位置付けられるものと,浮いたものが出てくる。浮いたものを除外する

 一方で「画面遷移のレスポンス向上」という要求は,この中では浮いた感じがする(図7-B)。浮いた要求はほかと関連しないので,とりあえず除外して考えることができる。

 「一見脈略のなさそうなたくさんの要求も,並べてみると関連が見えてくる」(クオリカの沖山氏)。要求の中には他の要求と同じ目的を達成するためのものもあれば,あまり脈略のない浮いた要求もある。浮いた要求は,優先度を落とすのが得策である。