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 2月に始まったマイクロソフトのヤフー買収劇(関連記事『提案に見る「成熟企業3つの悩み」』)は、5月にいったん幕間に入り、6月12日付のヤフー・グーグル提携で第二幕を終えた。ヤフーとグーグルの提携を規制当局は認めるのか、ヤフー取締役の交代を求めていた投資家のカール・アイカーン氏はどう動くのか、マイクロソフトは本当にヤフーの広告事業買収を諦めたのか。劇はまだ続きそうだが、ここまでの動きで目を引くのは、ヤフーの創業者であるジェリー・ヤンCEO(最高経営責任者)の「会社は創業者のもの」と言わんばかりの姿勢である。

 会社は誰のものか、という問いかけが日本で時折話題になる。多くの場合、「会社は株主のもの」とする主張に、「会社は株主だけのものではない」という主張が対立する。だが、本来、これら二つの主張は対立するものではない。会社は株主のものであるし、社員のものであるし、顧客を含む社会のものでもある。三者の視点から、ヤンCEOが選択したグーグルとの提携策を考えてみよう。

会社は株主のものか?

 ここ数年、株価低迷に悩んできたヤフーにとって、2月にマイクロソフトが出した買収条件には魅力があり、株主の視点からすれば、マイクロソフトの傘下に入るのは歓迎すべきことであった。だが、ヤンCEOは頑として買収に応じなかった。買収価格を引き上げる交渉をした恰好にはしたが、そもそも応じるつもりはなかった。といって、マイクロソフトの提案以上にヤフー株の価値を高める手だてを発表し、株主を納得させたわけではない。

会社は社員のものか?

 それでは、会社は社員のものと考え、マイクロソフトに買収されるのはヤフー社員のためにならないと考えたのだろうか。だが、グーグルと提携したことで落胆したヤフー社員もいたはずだ。ヤフーは広告サービス事業でグーグルと競合しており、グーグルを追撃すべく新しい広告配信システムを開発したばかりであったが、グーグルと提携してしまった以上、ヤフーの新システムの出番は減りかねない。広告主はグーグルの広告配信システムにさえ広告を登録すれば、グーグルだけではなくヤフーにも広告を出せることになるからである(関連記事「ヤフーの“焦土作戦”を予測していたか?」)