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2008年6月,台湾・台北市でコンピュータ関連製品の展示会「COMPUTEX TAIPEI 2008」とWiMAX製品の展示会「2008 WiMAX Expo Taipei」が開催された。世界各地でのWiMAXサービスの開始を2009年に控え,その成熟度をアピールしたほか,米インテルのCPU「Atom」搭載の小型デバイスが多数登場した。

 「台湾を,ICT(情報通信技術)分野における世界最大の供給センターとして発展させていく」--。5月に台湾総統に就任したばかりの馬英九氏がCOMPUTEX TAIPEI 2008の開会式に登壇しこう宣言した(写真1)。

写真1●COMPUTEX TAIPEI 2008の開会式で講演する馬英九総統
写真1●COMPUTEX TAIPEI 2008の開会式で講演する馬英九総統
「情報通信分野の世界最大の供給センターになる」と宣言した。

 同氏の言葉通り,今回の同展示会は,主役がこれまでのパソコンから,通信とコンピュータ技術を融合した製品へシフトしたことを印象付けるものだった。台湾が精力的に取り組んでいるモバイルWiMAX関連の展示に加え,米インテルが3月に発表した省電力CPU「Atom」と無線通信モジュールを搭載した低価格・小型のノート・パソコン,単行本サイズのインターネット端末であるMID(mobile internet device)が多数展示された。

モバイルWiMAXの実用性を強調

 台湾は現在,全土にモバイルWiMAX(IEEE 802.16e)網を張り巡らせるプロジェクト「M-Taiwan」を推進中。このプロジェクトのショーケースとして,2007年からCOMPUTEX TAIPEIに併設する形で「WiMAX Expo Taipei」を開催している。

 展示の目玉は,台北コンピュータ協会(TCA)が企画した「WiMAXバス」だ(写真2)。全16台のマイクロバスを運行し,複数の展示会場間を結ぶ。バスの中には,モバイルWiMAXモジュールを搭載したノート・パソコンを用意し,これらが実環境でも問題なくインターネットに接続できることをアピールしていた。

写真2●2008 WiMAX Expo Taipeiで走行したWiMAXバス
写真2●2008 WiMAX Expo Taipeiで走行したWiMAXバス
WiMAXモジュールを搭載したノート・パソコンを備える。
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 通信速度は「下り2Mビット/秒,上り1Mビット/秒程度」(説明員)だった。実際に体験してみたが,基地局アンテナのローミングが発生しても途切れはさほど気にならない。Webサーフィンが快適に楽しめた。

写真3●台湾キスダのWiMAXスマートフォン
写真3●台湾キスダのWiMAXスマートフォン
GSM/GPRS/EDGEにも対応する。
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 WiMAX Expo会場では,WiMAXモジュールを搭載したノート・パソコンや小型インターネット端末が実際に通信できることを実演していた。中でも目立っていたのが,台湾キスダ(旧BenQ)のWiMAX端末試作機である。モバイルWiMAXと無線LAN,GSM/GPRS/EDGE方式に対応する(写真3)。

 同端末はOSにWindows Mobile 6.1を採用。SIP(session initiation protocol)に対応し,モバイルWiMAXと無線LAN経由でのVoIP(voice over IP)を可能にしている。モバイルWiMAXの実効速度は,「現在の端末は2Mビット/秒程度だが,調整すれば8M~10Mビット/秒まで出せるだろう」(同社の説明員)という。

ネットブックにHSDPAを搭載

 COMPUTEX TAIPEIの会場では,ネットブックやMIDに注目が集まった。

 ネットブックは小型・低価格のノート・パソコンのことで,最近話題の台湾アスーステック・コンピュータの「Eee PC」が代表例だ(写真4)。今回新たにエイサー,ギガバイト,マイクロスター・インターナショナル(MSI)など台湾の大手パソコン・メーカーが本格参入した。CPUにAtomを搭載し,6月から7月にかけて出荷する。

写真4●台湾アスーステック・コンピュータが6月3日に発表した「Eee PC901」
写真4●台湾アスーステック・コンピュータが6月3日に発表した「Eee PC901」
HSDPAモジュールを内蔵する。

 液晶パネルは8.9インチ型または10インチ型で,IEEE 802.11b/g方式の無線LANを備える。OSにはWindows XP/Vista HomeまたはLinuxを搭載する。Windows版の場合はいずれも6万円程度。重さは1kg前後だ。

 各メーカーとも,ネットブックをワイヤレス・ブロードバンド端末と位置付ける。アスーステックとエイサーはWiMAXやHSDPAモジュールを標準搭載したモデルを2008年末に発売する。ギガバイトの製品はPCI Express Cardスロットを備え,ユーザーが無線モジュールを装着できるようにした。各社とも日本の携帯電話事業者と交渉している模様で,携帯電話,スマートフォンに次ぐ第3のデバイスとして今後発売される可能性がある。

“カーナビ”代替を狙うMID

 ネットブックよりも小さく,タッチパネルを備えた携帯端末は,MIDと呼ばれる。アスーステック,ギガバイト,台湾クアンタ,クラリオンなどが展示していた(写真5)。ネットブック同様,インテルのAtomを搭載する。OSにはLinuxを採用,Webブラウザ,電子メール,Office/PDFのビューワ,メディア・プレーヤなどを備える。いずれも通信機能としてBluetooth,無線LANを内蔵。HSDPAやWiMAXが搭載されたモデルも用意する。「携帯電話事業者からの販売奨励金により,350ドル程度で販売できないか検討している」(ギガバイトの説明員)という。

写真5●台湾ギガバイトの「M528」
写真5●台湾ギガバイトの「M528」
MIDの例。HSDPAモジュール,GPSなどを搭載する。

 MIDがネットブックと大きく異なるのは,GPSの機能を持っている点。地図ソフトも搭載し,運転時や歩行時に自分の位置をいつでも確認できる。欧米で人気のある簡易型カーナビゲーション・システム,PND(personal navigation device)市場を狙っている。