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 CIO(最高情報責任者)として、テクノロジーにかかわることはほぼすべて担当している。社員の携帯電話や携帯情報端末「ブラックベリー」にはじまり、航空機の予約システムや運航管理システムに至るまで、古いシステムを取り除いて新しいものを構築して導入する。乗組員にかかわることもあれば、機内食や航空機チケットの予約など乗客本位のものもある。それぞれに異なる面があり、カバー範囲は広くて複雑だが、その困難な仕事に挑むのはとてもエキサイティングだ。

ロン・アンダーソン-リーマン氏
ロン・アンダーソン-リーマン氏
1934年創業、本社は米国テキサス州ヒューストン。1990年代前半までに日本の会社更生法にあたる連邦破産法11条の適用を2度申請したが、90年代後半に再建を果たした。燃料費が高騰し続けているものの、2006年度は米航空業界の上位会社の中で唯一黒字化を達成。米国で放映したテレビCMでは、他航空会社がコスト削減でやめた枕や食事のサービスを続けていることをアピールした

 1980年代半ばに就職した別の航空会社と比べると、コンチネンタル航空はIT(情報技術)を重んじるという点でとても魅力的だ。最も印象深かったのは、2001年9月11日の同時多発テロ後に経営状態が苦しくなっても、「ITと社員を重視する文化」を維持したことだ。厳しい時期だったが、すべてのシステムがいつも通り機能し、必要なアップデートを続けることを忘れず、社員の削減もしなかった。今日でも、ラリー・ケルナー会長兼CEO(最高経営責任者)は「IT投資は、当社をよりよい航空会社に変える牽引車だ」と強調し続けている。

 目下の最大の関心事は、メインフレーム・コンピュータで25~30年前に構築した古いシステムを更新することだ。サーバーで新しいシステムを構築して徐々に切り替えるという長期プロジェクトであり、現在は運航管理システムを構築中で、2008~2009年に完成する。第2段階としては予約システムと出発便制御システムを更改する。

今までは人間がコンピュータに使われていた

 レガシーシステムから脱却するのはなぜか。過去のコンピュータシステムは、ビジネスや人々に「命令」を下していた。ビジネスをどう展開したいか、ビジネスをどうサポートするか、という発想に基づいて作られたものではなく、人間がコンピュータに使われていた。コンピュータとシステムのコストが高く、逆に人件費は安かったからだ。しかし、それではビジネスに限界が生じてしまう。

 新しい運航管理システムは、温暖化ガスの効果的な削減と、使用燃料の削減を目的としている。米国政府機関とも協力し、なるべく燃料を使わないような航路を計算して設定できる。

 地上設備においても、航空機が駐機している際、従来の燃料による補助動力装置を使うのではなく、補助エンジンを切って、地上にある電気系動力設備を使い、燃料コストの削減を図る。排気ガスと騒音も大幅に減らすことができる。補助エンジンを切らないでいると、アラートを発して地上の動力装置に切り替えるように知らせるモニターシステムも開発した。このほか、当社は常に新しい航空機や機材を集めて高効率化を進めている。これにより、莫大なコストが削減できる。最新技術の利用は、環境を守り、膨れ上がる燃料コストを圧縮する原動力となることが、ここでも明らかだ。

 1990年代のインターネットの急成長で、顧客が航空会社と接する方法が劇的に変化した。昔は空港に来てカウンターに向かい、地上職員が延々とキーボードを打っているのを見守っているのが当たり前だった。現在、特にビジネス客はオンラインで予約し、航空会社の職員に全く接することなく電子チケットを使ってチェックインするし、その需要は高まるばかりである。

 当社は他社に先駆け、電子チケットに対応したキオスク端末を空港に導入した。キオスク端末でパスポートを読み取り、そのまま国際線にチェックインできるようにしたのも米国で初だった。さらに乗客には見えないところだが、予約は確実か、キオスク端末は使いやすいか、チェックインタイムの短縮が進んでいるかなどを、常に確実なものにしていかなければならない。こうしたIT活用のおかげで目に見えて紙の利用が減り、乗客にとっても便利さが増すのを見るのは楽しいものだ。

 最先端の動きとして、ハブ空港となるヒューストン空港で「電子搭乗券」を始めた。ブラックベリーなどの携帯端末の液晶画面に表示したバーコードを、読み取り機で読んで搭乗することができる。これで、キオスクで印刷していた搭乗券の紙が不要になり、利便性も増す。これも全米では当社が初めて導入した。日本では携帯電話を使ったバーコード読み取りが各所で進んでいるが、米航空会社では画期的なことで、早い時期に全米に広げたいと思っている。

ロン・アンダーソン-リーマン氏
米コンチネンタル航空 上級副社長 兼 CIO
アイオワ州出身。1986年に米ユナイテッド航空にコンピュータプログラマーとして入社。2000年にコンチネンタル航空の技術チーム・マネージングディレクターとして転職。2004年8月からCIOに昇格し、約300人の技術チームを率いる。