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 プロジェクトマネジメントを実行するに当たっては,各種の会議体(プロジェクト会議,進捗会議,リーダー会議など)が決められ,それらを通してプロジェクトの進捗や問題の把握,問題点の対策及びフォローが実行される。このようなプロジェクト管理制度は,会社や組織で定義されている場合が多い。にもかかわらず,現実は「プロジェクト管理ができていない」「実行されているにもかかわらずプロジェクトが混乱した」といったケースが後を絶たない。なぜ,このような状況に陥ってしまうのか?

 プロジェクト・マネージャ(PM)が,各工程の進捗や問題点,リスクを正しく把握できていなかったり,問題やリスクは把握していたにもかかわらず,真の問題点や原因を追求できずに適切な対策が打てなかったりするなど原因はそれぞれある。一番まずいのは「リーダーやメンバーがきちんとやってくれると思っていた」という言い訳である。PMとしては言えるものではない。

タイムリーに状況把握できる仕組みや仕掛けが必要

 PMが,プロジェクト管理をする気はあっても,複数プロジェクトを抱えていたり,ほかの作業で忙しかったりして,結果的にプロジェクト管理がなされていなかったというケースをよく見かける。PM自身にプロジェクト管理を実行する気があったとしても,結果的にできていなければ,プロジェクト管理能力を問われても仕方がない。リーダーに実行させる気があったとしても,結果的にできていなければ,メンバーの問題点の把握能力や報告能力を十分把握できていなかったということである。

 このような状況を回避するには,PMがプロジェクトの状況をよく把握するか,把握しないかにかかわらず,プロジェクトの状況をタイムリーに把握する仕組みや仕掛けを持っておけばよい。要は,管理しなくても結果的に管理できる仕掛けがあるのが,理想的である。メンバーが進捗状況や問題点を報告しなければならない雰囲気や仕組み,報告しないと自分自身が困ることになる仕掛けなどを考えるとよい。

 例えば,ある工程が遅れると次工程のメンバーが困るような工程計画にするなどである。自分の担当する工程の期間が,前工程の担当者の遅れにより短くなれば,後工程の担当者は必ずクレームをいうからである。品質保証部門やPMO(プロジェクトマネジメント・オフィス)のような第三者からタイムリーに問題点が報告されるような仕組みも効果的である。

押さえるポイントは,自分自身で押さえる

 PMには,プロジェクトを通してメンバーを育成することも求められている。リーダーやメンバーに仕事やある権限を与え,育成していくのが一般的である。しかし,任せ放しで何も見ていなかったり,指導していなかったりする場合が多い。これは,PMが管理を放棄しているのと同じである。

 一方,PMとして押さえておくべきこと,例えばクリティカル・パスやマイルストーンなどは確認しておく。状況把握や問題,リスクをきちんと把握しているか,問題やリスクに対して適切に対策が講じられているか,などのポイントをチェックし,押さえておく必要がある。管理のポイントはチェックである。PMは指示を出すときにチェックのやり方も含めて指示を出すことが重要である。どのように効率よくチェックするのか(例えば,縦横のクロスチェックなど)を常に考え,適切な指導を行い,メンバーを育成することがPMの重要な仕事の一つである。

千種 実(ちくさ みのる)
日立システムアンドサービス
プロジェクト推進部 部長
1985年,日立中部ソフトウェア(現 日立システムアンドサービス)に入社。入社以来,一貫してプロジェクト管理に従事。PMOの立場でトラブル・プロジェクト支援を数多く経験した後,社内のプロジェクト管理制度の構築やプロジェクト管理システム(PMS)開発およびプロジェクト支援,プロジェクト・マネージャ教育講師に携わる。また,他社のプロジェクト管理に関するコンサルティングや研修講師,講演などを経験し,現在もPMOの立場からITプロジェクトを成功へ導くために幅広く,社内外で活動中。1962年,三重県出身。岡山理科大学理学部応用物理学科卒。