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特売での成功体験を生かす

 サムズクラブでなら成功するという判断は、数少ない成功体験にも基づいている。スーパーセンターなどでも、「特売用ディスプレイ」の品切れ防止では、成果を上げていたからだ。冒頭の特売品への義務化のうわさも、それがベースになっている。

 特売用ディスプレイは、大量の商品を詰め込み、店舗の目立つ場所にそのまま置けるようにしたもの。納入業者は売り出しの期日に合わせて特売用ディスプレイを各店舗に納入する。しかし、指定日に品出しされるのは、その半分程度と言われている。クリスマス用装飾品のディスプレイが、クリスマスが終わった後に品出しされたといったことが頻繁に起こっている。

 2005~06年ごろ、P&Gやキンバリー・クラークといったICタグ積極派の日用消費財メーカーが特売用ディスプレイにICタグを張り付けてみた。張り付け単位がディスプレイなので、サムズクラブの場合と同様、パレットのラップフィルムをほどいてICタグを張り付けるといったことが必要ない。つまり、張り付けコストが他の商品に比べて低い。店頭でも特売用の専用位置に置くため、陳列ミスは起きにくい。

 クリネックス・ブランドといった世界ブランドを持つキンバリー・クラークの場合、ディスプレイにICタグを付けることで、品出し率を20%向上させた。07年に入ると、P&Gやキンバリー・クラークの成功を見た一部の納入業者が、特売用ディスプレイにICタグ張り付け始める。

 例えば米ジョンソン・アンド・ジョンソンは、「バンドエイド」のディスプレイに適用してみた。ICタグによって品出しのタイミングが明らかになると、「予定より早く品出しされていたディスプレイが79.2%もあった」とマイク・ローズRFID/EPCグローバル・バリュー・チェーン担当副社長は驚く。早く品出しされていたということは、それだけ売れていたのだから問題はないように見える。しかし、ディスプレイ内の商品が早めに売り切れてしまい、最大の売り上げが期待できる特売日に品切れを起こす店舗が多いことが分かった。対策として予備のディスプレイを集中的に追加納入した。「この流れを最適化していけば、1回の特売で120万ドル程度の売り上げ増加が見込める」とローズ副社長は期待する。

 ウォルマートは07年から、スーパーセンターなどで、特売用ディスプレイの置き場に場所タグを張り付けている。すでに1300店舗に展開済みだ。

 サムズクラブでも特売品への期待が大きい。「サムズクラブのほうが特売の売り上げ比率が大きい」(P&Gのターク ディレクタ)からだ。商品点数が少ないため、ショッピング・カートの側などにずらっと並ぶ数点の特売品が売れ行きを左右する。ICタグ積極派のP&Gで、ウォルマートと協業して導入を主導してきたターク氏は、サムズクラブでの目標をこう明かす。「品切れ防止と特売効果で売り上げ増1%を狙う。それでICタグのコストを回収できる」。