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分厚い資料(左)をキャリーバッグ(右上)に入れているほか、出張先で困らないように多くの電池を持ち歩いている
 松本は、常にキャリーバッグを“ゴロゴロ”と引いて顧客を訪問する。ネクステックのコンサルタントが執筆した製造業向け経営書を、何冊も持ち歩く必要があるので、キャリーバッグを利用し始めた。今では分厚い資料のほか、突然の出張に備えて着替えや旅行用品まで入っている。顧客からは「松本さんとゴロゴロは一心同体ですね」と微笑まれるという。

 ネクステックは、製造業向けのPLM(製品ライフサイクル管理)ソリューションを手掛ける。営業は「プロジェクト開発」と呼ばれ、単に案件を受注するだけでなく、プロジェクトの立ち上げにまでかかわる。松本は多くの新規案件を獲得し、2008年5月には女性として初のシニアマネージャーに昇進した。

 松本は、ネクステックに入社して念願の営業になった。「父親は優秀な営業で、新聞に掲載されるほどの大型商談をまとめた経験もある。父親の姿を見て、営業の仕事にあこがれを抱いた」と話す。

 入社当初の松本には、営業経験も製造業の知識もない。顧客の話す専門用語を理解できず、最初は苦しんだという。真摯(しんし)に耳を傾けるうち、自社の問題を解決するにはどうすべきか顧客も困っていることが分かってきた。

 顧客の言葉の断片を手掛かりに、過去のネクステック提案事例を徹底的に調査。“これだ”と思えるものを発見していくうちに、次第に製造業に対する理解が深まり自信がついてきた。 

 分厚い資料をあえて持ち歩くのは、ノートパソコンでは顧客に説明しにくいため。「御社の経営のポジショニングはここです」「当社の方法論はこうです」「こんな成功事例があります」と、話の流れを機敏につかみながら、資料をさっと見せる方が理解を得られやすい。

 「今では常に日本の製造業はどうあるべきかという問題意識を持つようになった。プライベートで海外へ出るときも意識的にアジアを選び、機会があれば製造現場なども訪れる」と言う。そこで得た生の経験が顧客との会話に役立っている。

=文中敬称略

松本 佳世(まつもと かよ)氏
ネクステック
シニアマネージャー
東京都出身。大学卒業後、商社に就職。大学系シンクタンクを経て、2003年7月にネクステックに営業職として入社。2008年5月、シニアマネージャーに昇進して現在に至る。趣味はサッカーで、大学時代は関東サッカー連盟のリーグ戦でキャプテンとして活躍。現在は社内メンバーで結成したチームで、フットサルに興じる。