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 BSデジタル放送と東経110度CS放送を「東経110度衛星放送」として統合すると,本当に普及の追い風になるのか。制度上の統合とは,普及政策の一体化のことなのか。それとも,「放送の区分」まで統合することになるのか。これらの点が明確になっていない以上,東経110度衛星放送への統合方針には賛成できない──。総務省が作成したBSデジタル放送の委託放送業務認定に関する基本的方針案に対して,日本民間放送連盟はこのほど“反対”の姿勢を示した。その理由は,このように整理できそうだ。

 総務省は,BS放送が完全にデジタル化される2011年7月以降,BSデジタル放送と東経110度CS放送を統合し,普及政策を一本化したい意向である。これに対して民放連は,視聴者から見てBSデジタル放送と東経110度CS放送に違いがなくなることを認めたうえで,事業者の立場で見ると両放送にはいくつかの違いがあると考えている。例えばBS放送用の周波数は国際調整によって割り当てられた国の財産だが,東経110度CS放送用の周波数は民間の財産である。

 求められるサービス内容も違う。現行制度では,BSデジタル放送はHDTV(ハイビジョン)の総合編成が中心の準基幹的メディアであり,東経110度CS放送は「高機能サービスを実現する放送」と位置付けられている。BSデジタル放送と東経110度CS放送の受信可能世帯数にも,大きな差がある。こうした違いがある二つの放送の普及政策を一体化することが,なぜ衛星放送の発展につながるのかというわけだ。

 確かに,総務省の基本的方針案については関係者の中に,「HDTV化などを推進しやすくして,東経110度CS放送を普及させるための措置なのではないか」という見方がある。その背景の一つに,HDTV放送の水平方向の画素数としてフルスペックの「1920」だけでなく,「1440」も選択できるようにした点がある。これに対して民放連は,「東経110度衛星放送のより一層の普及・発展のためには,1920画素を基本にすることが適切」と,意見書の中で主張している。

 画素数に対する民放連の主張に対しては関係者の中に,「1920画素を基本にすると,新規参入の障壁になるのではないか」という声がある。これに対して民放連は,「新規参入を制限する意図はない。民放キー局系事業者などのこれまでの取り組みを,尊重してほしいだけだ」と説明する。そのうえで,「地上デジタルのHDTV放送よりも画質が良いことが,現在のBSデジタル放送の強みの一つだ。東経110度衛星放送になっても1920画素を基本にして,その強みを維持すべきだ」と強調する。