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NTT東日本がNGN(次世代ネットワーク)の提供エリアを拡大する2008年7月以降,フレッツ回線向けのVPNサービスで,拠点を追加する際の使い勝手が悪くなることが判明した。地域IP網とNGN網とが別々に運用され,相互につながっていないことが問題の原因。だが解消するための対策は秋以降になるという。

 NTT東日本は2008年7月末にも,NGN対応サービスの提供エリアを拡大する。これに伴い,フレッツ回線向けのVPNサービスを使うユーザーが新しい拠点を自由に追加できないケースが増えることが明らかになった。

 提供エリアを拡大するのは東京都23区,千葉市,さいたま市,横浜市など企業ユーザーが集中する地域。影響を受けるユーザーが多くなれば,NGNに悪いイメージを植え付けかねない。

NGNと地域IP網を接続していない

 例えば,既に地域IP網上でVPNを構築しているユーザーの場合,NGN提供エリアにある拠点に光ファイバを引いても,構築済みのVPNには収容できない。逆に,NGN提供エリアで新しくVPNを構築したユーザーが,NGNをまだ使えないエリアの拠点をVPNに追加しようとしても,収容する手段がない(図1)。

図1●NGNのエリア拡大でフレッツVPNシリーズが使いにくくなる可能性
図1●NGNのエリア拡大でフレッツVPNシリーズが使いにくくなる可能性
NGN対応のフレッツ 光ネクストの提供エリアが広がると,新規の拠点追加ができないケースが増える。

 この問題の要因は,地域IP網で提供中のVPNサービスと,NGN用に3月末から開始したVPNサービスとの間に,相互に通信する経路がないため。それぞれの網を中継するゲートウエイ機能が用意されていないのだ。

 問題に拍車をかけるのは,NTT東西の販売施策だ。具体的にはNGNの提供エリアとなった地域では,新規加入者は原則NGN網に収容するFTTH回線「フレッツ 光ネクスト」しか契約できないようにする。これは「2012年度末に予定するNGNへの完全移行時に,新規ユーザーに負担をかけないための措置だ」(NTT東日本)という。

VPNワイドが登場する秋以降に対策

 低価格のフレッツVPNシリーズはNTT東西のヒット商品だ。エントリーVPNの「グループアクセス」は2008年3月末時点で,東西合計で15万回線のユーザーがいる。NGNが拡大するにつれ問題の影響も広がる恐れがある。

 NTT東日本は「この問題はNGNの商用サービスを始めた時点から分かっていた」という。だが対策を打つのは,グループアクセスの後継となるNGN用の「フレッツ・VPNワイド」を投入する今秋以降になるもよう。「ユーザーに迷惑をかけない方法を考えている」というが,その詳細は決まっていない。

 根本的な解決策は,二つの網をつなぐ相互接続メニューを用意すること。だがNGNへの移行を促し,設備利用率を高める観点からは,NGN回線を地域IP網のVPNに収容するメニューは用意しない可能性が高い。

 地域IP網とNGNの機能の差がそれほどない現状では,既存のユーザーは,地域IP網側のVPNを使い続けることを希望するはずだ。そうなれば,NTT東西はNGN提供エリアでもBフレッツを継続して販売せざるを得なくなるだろう。IP系サービスをNGNにスムースに統合するというもくろみは崩れることになる。