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 衛星放送やケーブルテレビ(CATV)の洋画専門チャンネルを運営するスター・チャンネルが,経営再建を目的とした会社分割を行い,2008年8月1日から新スター・チャンネルとして業務を行うことになった。現在のスター・チャンネルを,財務を継承する会社と放送事業を継承する会社に分割し,前者は約240億円に上る累積損失を引き継ぎ,最終的に清算する。後者は現在のスター・チャンネルから放送事業を引き継ぎ,新スター・チャンネルとして再スタートする。

 新スター・チャンネルには,現在のスター・チャンネルの中核株主である東北新社と伊藤忠商事,ソニー,米News Corporation日本法人の4社が均等に出資する予定である。これらの4社が新スター・チャンネルの経営責任を負うことになるが,社長には東北新社出身の木田由紀夫氏の就任が内定している。また,営業や番組編成などの責任者も東北新社の出身者で固める予定であり,業務の執行責任は東北新社が負う形になりそうだ。

 スター・チャンネルがこの時期に経営再建に乗り出した背景の一つに,2011年7月以降の東経110度衛星放送(BSデジタル放送と東経110度CS放送)への参入問題がある。同社は現在,BSデジタル放送で1チャンネルのHDTV(ハイビジョン)放送を行っており,東経110度衛星放送ではHDTVチャンネルを二つに増やしたい意向である。衛星のトランスポンダ(電波中継器)1本分の伝送容量を確保して,フルHD(1920×1080画素)で2チャンネルの放送サービスを提供することを目指している。

 スター・チャンネルがこうした構想を実現するには,まずは自らの財務体質を改善する必要がある。総務省は2011年以降の東経110度衛星放送への新規参入を認める事業者に対して,「長期的に安定して事業を行える財務基盤があること」という条件を義務付けるのは確実である。参入希望者が続出して比較審査になった場合には,多額の累損を抱える事業者は不利になる。新規参入の申請受け付けは,2009年4月ごろに始まる予定である。この時期をにらんで,今のうちに累損という「負の遺産」を一掃しておきたかったというわけだ。

 今回のスター・チャンネルの経営再建に関しては,「現在の4チャンネル体制の縮小も検討課題になる」という報道があった。これに対して新スター・チャンネルの関係者は,「チャンネル数の削減は考えていない」と強調する。メインチャンネルの「スター・チャンネル」と日本語吹き替えの「同プラス」,名作映画の「同クラシック」,BSデジタル放送のHDTVの1チャンネル(編成はメインチャンネルと同じ)という4チャンネル体制は,新スター・チャンネルでも維持する方針である。