
ビルなどで使う空調の省エネに、せっけんや洗髪に使うリンスなどに使われる界面活性剤が役立つことが明らかになった。札幌市役所の空調で進めた実証研究では、ポンプの動力に使う消費電力が5割程度減った。
札幌市役所では庁舎の空調システムとして、1カ所で集中的に冷温水を作り、建物内に張り巡らされた配管に温水や冷水を流して各部屋に冷熱を運ぶセントラル方式を採用している。冷熱を運ぶ水は「循環水」と呼ばれ、2005年から産業技術総合研究所などとの実証研究として界面活性剤を含んだ添加剤を混ぜている。
配管内には冬は約60℃の温水が、夏は約15℃の冷水が流れている。水の量は32tに及ぶ。例えば冬の場合、地下の空調室で60℃に温められた循環水は、上層階に向かってポンプで配管の中を押し上げられ、室内の窓際などに設置された「ファンコイルユニット」と呼ぶ装置まで流れていく。ユニットに内蔵されたファンが起こす風が配管に吹きつけられると、循環水の熱を奪った温風が室内に吹き出すという仕組みだ。

札幌市役所では添加剤の投入後、従来と比べて冬の消費電力量が約65%減った。冷房を使う夏も約47%の省エネを達成している。年間を通じて空調を24時間使う工場や、病院やホテルなどの省エネに効果的だ。