PR

 検索やGmailなど,Googleの人気アプリケーションを支えるインフラ技術に焦点をあてた一冊。インターネット経由で寄せられるぼう大なトラフィックやデータを,Googleがどうやって安定的に分散処理しているかを説明する。ハードウエア,ソフトウエアの構造だけでなく,開発体制,データ・センターの運用コストや消費電力の問題など幅広いテーマを扱っている。そのため,一通り読み終わると,Googleのインフラ技術を一連の流れにそって体系的に理解できた気にさせてくれる。

 本書の基になった資料は,インターネットなどで過去に公開済みの論文やホワイト・ペーパーだ。そのため,現在のGoogleの最新システムとは異なる部分もあるだろう。だが,Google独自のファイル・システム「GFS」や,データベース・システム「BigTable」など,「聞いたことはあるが,英語の論文を読む知識も時間もない」と思いがちな基盤技術を,比較的平易な日本語で読めるのはありがたい。一読しただけではわからない部分もあるかもしれないが,Googleの大規模分散システムは,話題のクラウド・コンピューティングの最先端である。その世界に興味があるなら,専門家でなくても背伸びして,ぜひ一読しておく価値があるだろう。

Googleを支える技術

Googleを支える技術
西田 圭介著
技術評論社
2394円(税込)