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 2008年夏、生協の「お中元」が変わる。全国の生協が加盟する日本生活協同組合連合会(日本生協連)が中核となって、ギフト事業を推進するからだ。従来は都道府県ごとの地域生協が、個別に商品を調達したりカタログを作成していた。「地域限定だった名産品や産地直送品を、全国の顧客に届けられるようにする」と、通販事業推進部の加藤堅次部長は意気込む。

部長自身の手でシステム導入

 今年11月末、日本生協連は来夏へ向けたプロジェクトを本格化すべく、国内約150社の調達先との情報共有システムを導入した。お中元商品の販売価格や個数の交渉履歴を記録したり、カタログに掲載する約1000種類の商品写真などをやり取りする。実は、このシステムの導入作業を担当したのは、加藤部長本人である(図1)。

図1●日本生活協同組合連合会は通販事推進業部の加藤堅次部長が調達先との情報共有システムを導入
図1●日本生活協同組合連合会は通販事推進業部の加藤堅次部長が調達先との情報共有システムを導入
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 当初、電子メールやFAXで情報をやり取りしようとしたが、「交渉履歴が残らなかったり、商談状況を検索できない煩わしさがあった」(加藤部長)。そこでフィードパスがSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)として提供している簡易データベース「サイボウズ デヂエ」を採用。契約から3週間で本運用にこぎ着けた。導入・利用費用は、調達先のアカウントを同社が負担しても1カ月当たり15万円だ。

 加藤部長自身でシステムを導入できたのは、システム部門が「経理データを管理しない」「事前に管理データを申請する」といった条件付きで「デヂエ」の利用を認めているからだ。これまでは自社内でサーバーを運用する条件だったが、この11月からSaaSの利用も認めた。「データの管理場所と管理項目が明確なら、自社で運用する場合と同等のセキュリティを保てる」とシステム部門が判断した。

 来夏のお中元商戦に向けた基幹系システムの増強作業や内部統制にかかわるシステム変更作業で、システム部門の忙しさは増している。「現場の小さな提案まで、手が回らないのが実情。現場主導でも安全に運用できるサービスは増えている。それを使わない手はない」と、加藤部長は指摘する。

改善支える草の根データベース

 老舗旅館やリゾートホテルの再生で急成長している星野リゾートも、データベースを構築する権限を現場に委譲している1社だ。旅館のフロント係や仲居さん、営業や予約の担当者がさまざまなデータベースを作り、社員間でデータを共有している。

 同社の場合は、システム部門が社内向けのグループウエアとデータベース・サーバーを用意し、ユーザー部門に開放している。現場担当者はWebブラウザに表示される掲示板に書き込むような操作で、データベースを新規に作ったり、データの検索ボタンを追加したりできる。

 予約部門で構築したのを機に、現場主導で構築したデータベースは10種類以上に増えた。今年4月には、草の根データベースを横断的に検索できるナレッジ・マネジメント・システムを構築するなど、「業務に不可欠なシステムに成長した」と、現場主導のデータベース構築を推進する米内山 泰ブラックベルト(管理職相当)は語る。

 例えば、業務上のうっかりミスや顧客からのクレームを“告白”し、同じ轍を踏まないように警鐘を鳴らす「ミス撲滅」データベースには、約3000件のデータが蓄積され、毎月の社員研修に役立てている。仲居さんなど顧客対応の現場が生んだ「SKKN(さりげなく、気が利いて、心に残る、ニーズにないサービス)」データベースには毎月20~30件のアイデアが書き込まれ、星野リゾート・グループのホテル・サービスに生かされている。