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 みなさんは,休日をどう過ごしていますか。「家でゴロゴロして,寝だめをする」という人は,決して少なくないと思います。しかし休日だからといって,寝ることだけを考えて無為に過ごすのは,考えものです。

 寝ることは,人の欲望の一つです。人間の性,五欲(食欲・財欲・色欲・名誉欲・睡眠欲)は,これで良いという限度がない「欲」なんです。だから寝だめしたから,もう寝なくともいいだろうとはなりません。食いだめを考えて見て下さい。同じことでしょう。欲というものは欲を呼び,さらに多くを望むので限度がないのです。 しかも,週日と週末の睡眠時間の時間差が大きいとリズムが乱れて,不眠症やウツ状態の原因になりかねません。

 そこで今回は,休日の過ごし方と睡眠について,お話ししたいと思います。

休日はだらしない日本人

 そもそも私たち日本人は,休日の過ごし方が上手なほうではありません。毎日,早起きする勤勉な人なのに,休日になるとだらしなく過ごす。そんな人を見かけることがよくあります。これには理由があると,筆者は考えています。

 旧約聖書の創世記では,生きるための労働を苦としています。神ですら,天地万物を完成された7日目に安息なさったのです。そこでユダヤ教では土曜日,キリスト教では日曜日を,働いてはいけない日である「安息日」としました。これによって,1週間のリズムができたのです。

 一方,日本では,勤労は美徳であるとする感覚が強く,戦前まで休日はあって無きがごとしでした。1週間を「月月火水木金金」と言ったものです。ようやく1980年代から,西欧にならって,週休2日制が広がっていきました。週休2日制が私たち日本人の生活に入ってまだ歴史が浅いので,生活の習慣として消化しきれず,未だに多くの人は1週間のリズムの取り方に当惑しているのではないかと思います。

乱れた生体リズムを土日で修正する

 では,土日をどうやって過ごせばよいのでしょうか。2日続く休日は,生体リズムを整える絶好の機会になります。

 この連載で繰り返し説明してきたとおり,体内時計による生体リズムは1日25時間で,24時間とは1時間のズレがあります。ズレが生じないようにするには,毎朝,日光を浴びる(光を目に入れる)ことが必要です。それが不十分だと,生体時計が毎日少しずつ遅れて,次第に夜ふかしになります。

 とはいえ金曜日に早く寝て,土曜日の朝いつものように起きるのは,現実的に難しいでしょう。そういう場合,割り切って,金曜日は夜ふかしすればいいと思います。例えばいつもの平日なら午前0時に寝ているのであれば,金曜日には午前2時まで起きていて構いません。そうすると,土曜日の朝,起きるのが辛いでしょうから,寝坊すればいいのです。土曜日の朝食は,昼食と兼ねて摂りましょう。いわゆるブランチです。

 こうなると,生体リズムが狂います。それを整えるため,土曜日の夜はいつもの平日と同じ時刻に寝ましょう。その上で,日曜日にはいつもの平日と同じように,寝起きをします。これで生体リズムが整います。

 このとき,土曜日にいつもの平日と同じ時刻に寝ることがポイントになります。そこで入浴を夕食前に済ませましょう。これが安眠につながります。身体の深部が冷えると,眠くなるのです。

 次回は「朝型・昼型」について解説します。

田村 康二(たむら こうじ)
田村 康二(たむら こうじ) 医師,医学博士。立川メディカルセンター(新潟県・長岡市)常勤顧問。内科,循環器病,時間医学などが専門で,著書に「生体リズム健康法」(文藝春秋社),「健康安心ノート」(和泉書房)などがある