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アクセンチュア
システムインテグレーション&テクノロジ本部
インフラストラクチャコンサルティング統括パートナー
森 泰成

 このところ急速に,情報システムにかかわる環境問題への取組みとして「グリーンIT」が注目されてきた。しかし,グリーンITが会社にとってどのような意味があり,どのくらい重要なのか,情報システム部門はどのようなスタンスで推進するべきか,具体的にはどんなことができるのか,また今後に向けてどのような視野で備えておけばよいのか,ご存知だろうか? 

 本連載では,経営層と情報システム部門が理解しておくべきグリーンITの要所について考えていきたい。

1.グリーンITにはどのような意味があるのか

 現在の環境問題への取組みは,1)地球温暖化の防止,2)資源の有効利用,3)有害物質の管理の3つに大きく分けられる。これに習い,同じ切り口から,企業にとってのグリーンITの重要性について考える。

■ 温暖化対策への企業コンプライアンス

 各メディアが伝えているとおり,日本のCO2排出量は,京都議定書の削減目標(1990年に比較して2012年までに6%減)とは裏腹に増加してきたという現実がある。そこで政府は「地球温暖化対策推進法」により,企業ごとにCO2排出量の報告と削減計画の提出を義務づけている。

 グリーンITはこれに対応する会社のコンプライアンス活動の中で,1)IT資産が排出するCO2の量を把握し削減すること,および,2)ITを使って事業活動のCO2排出量を削減すること,の2つを役割として担う。この役割をどんなレベルで実施するのかは,会社の事業やシステムによって異なる(詳細については,本連載の第2回で取り上げる)。 

 ただし,CO2排出量の把握に関して言えば,排出権取引の導入動向によっては,排出量エビデンスとするに足る適切な精度で,メータリングなどにより計測できることが要求される。またCO2排出量の削減に関して言えば,所有しているIT機器の全容を把握し,その使用電力の削減方法を整理して,継続的にマネジメントすることが必要となる。

 さらにまた,事業部門から要請があればそれに応えることができるように,テレワークなどのIT施策がどの程度CO2排出量の削減に効果があるのかを推測できるようにしておくことが望ましい。

■ 電力コストの削減と供給枠の確保

 経済産業省が2007年12月に発表した「グリーンITイニシアティブ」によると,IT機器の消費電力は,2006年では約470億kWhで日本の消費電力全体の約5%だが,2025年には2400億kWhで全体の20%,2050年には5000億kWh以上になると言われている。

 会社のなかでも,急激なIT機器による消費電力量の増加により,コストに占めるIT電力コストの割合が大きくなるにしたがって,電力消費におけるムダを省くことに注目が集まっている。省エネルギー機器へのリプレースや,電源装置の変換効率の向上などにより,どれだけエネルギー効率(例えば,データセンターのPUEのような指標)を向上することができるのか,また総量としてどれだけ電力コストを削減できるのかということが問われるようになるだろう。

 またIT機器が全体の消費電力量を押し上げることにより,市場で電力の需給バランスがくずれる場面がでてきている。単純なサーバー増設により能力アップを図った金融データセンターが契約電力(電力供給枠)をタイムリに増やすことができないという状況が現実に発生している。電力の確保は事業収益に直結する問題になりつつあり,グリーンITには事業成長の制約を回避する手段として取り組むべき場合も出てくると考えられる。 

 さらにビジネス内容によっては,電力以外にも,紙や人・モノの移動のために消費される資源における同様の課題をITにより解決(テレワーク,ペーパレス)すべき場合も想定される。

■ 事業における化学物質の管理

 欧州では,RoHSWEEEREACHELV指令など,環境に関わる規制の強化が進んでおり,この動きが世界市場へと広がりを見せている。 

 欧州を直接・間接の市場とする事業部門については,すでに製品や事業設備の構成情報を管理することが求められているはずであるが,2008年7月のG8首脳会合(洞爺湖サミット)後の国内のPRTR法強化の動向によっては,すべての事業部門で有害物質に関する管理を敏速かつ効率的に行うことが要求されるようになるだろう。 

 製造・流通分野の会社では,従来からあるBOM(bill of materials)管理システムなどにおいて有害物質データを扱えるようにしたり,調達・生産でのチェックや追跡ができるようにすることが要求されるだろう。また,通信・金融分野の会社でも,IT資産そのものの構成情報を管理することが必要になると予測される。

■変更履歴
本文中,(1990年に比較して2010年までに6%減)としていましたが,(1990年に比較して2012年までに6%減)の誤りです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2008/11/21]