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フリー・エンジニア
高橋隆雄 フリー・エンジニア
高橋隆雄

 最近,Asteriskの話題をあまり聞かなくなっているような気がしないだろうか?ただし,Asteriskは下火になってるのでは,というのは誤解である。実はそれなりに認知されてきたために,実際に使ってみるという例が増えてきているのである。

 筆者は日本Asteriskユーザ会として,Linux WorldやOpen Source Conferenceへ参加し,出展および講演を行っている。このようなイベントに参加した当初は,他のオープンソース・ソフトウエアのプロジェクトにかかわっている人ですら,「Asteriskを知らない」ということが少なくなかった。極端な話,隣のブースの人に対してAsteriskの説明をする,というケースも少なくなかった。

 ようやくここ最近になってオープンソース関連の人たちの間では十分に知られるようになり,「うちでも入れてみました」という声も聞くようになってきた。また講演においても,既に使っている方が来ている率も高くなっている。

 確かにAsteriskは,他のオープンソース,例えばCMS系やDB系などと比較すると,分かりにくい点があるのは否めない。そもそも音声サービスが何に使えるのかが見えにくい点がある。このためAsteriskを実際に使っていないユーザーからすると,何だかよく分からないし,「電話」だから関係ないという認識になることが多い。「とにかく使ってみてください」と筆者がことあるごとに主張しているのは,このような理由による。実際にAsteriskを使い,その機能を稼働させてみれば,応用方法を思いつくものだ。

ツールとしての音声は終わっている?

 Asteriskの普及を阻害している他の要因として,「コミュニケーション手段としての音声通話は“終わっている”」という根本的な問題が挙げられる。これは例えば固定電話の衰退や,携帯電話における通話時間の減少などを見ていると正しい主張のように思える。では,今後のコミュニケーション手段は何なのか?と問えば,多くの人は「電子メール」と答えるだろう。

 ところが最近,古くから電子メールをツールとして使ってきているユーザーの間では,電子メールこそが“終わっている”という主張をよく聞く。これはなぜか?電子メールは誰にでも扱いやすいツールである。ただ,一方的に送りつけることができることから,SPAMが多いのも皆さん経験済みであろう。電子メールを使うことで疲弊してしまっているユーザーも少なくないはずだ。

 これらの問題は,我々が電子メールをうまく使いこなしていないから,というわけではなさそうだ。例えばSPAMを考えてみよう。今のところホワイトリスト方式によって,特定送信者からの通信だけを許可するいう防御策以外に効果的かつ,ほぼ完全にSPAMを遮断する手段はない。なぜSPAMがなくならないのかというと,電子メールを送りつけるコストが実質的にゼロだからだ。投資額がゼロであるのにリターンがあるとすれば,これを“金もうけの道具”に使わないわけがない。その結果,現在のようにSPAMだらけの状況が作り出されるのである。

 本来,コミュニケーションの手段というのは何か一つに集約されるべきものではなく,複数の手段を上手く使いこなすことが望ましいと筆者は考える。音声通話は実はかなり効率的なコミュニケーション手段の一つで,相手の反応を伺いながら必要最小限の時間で情報を伝達できる。電話で話をするといい人なのに,メールでやりとりするとけんか腰になってしまう,という経験をされたことはないだろうか?このような背景から,筆者は改めて音声通信や音声サービスをもっと利用しようと呼びかけたい。その際に有効なツールになるのがAsteriskというわけだ。