正解はA,D,Gです。
今回の問題は,CCENT(Cisco Certified Entry Networking Technician)の試験範囲から,IP通信におけるデフォルトゲートウェイとARP(Address Resolution Protocol)の複合問題です。BCMSN(Building Converged Cisco Multilayer Switched Networks)の仮想ルータなどともかかわりが深いため,上位資格を目指す方も,この機会に復習しておきましょう。
問題のネットワークを図示すると,図1のようになります(データの流れを追えるよう,各図にはアドレスを追加しています)

問題の条件から,ルータを境界に2つのネットワークが存在し,各ネットワークに,スイッチとホストがイーサネットで接続されていることが分かります。
イーサネット接続で,ホストがIPパケット(レイヤ3)を送信する場合,イーサネットフレーム(レイヤ2)にカプセル化して,送信する必要があります。この際,レイヤ2のイーサネットは同じネットワーク内の通信のみが定義されているため,ホストAからネットワークが異なるホストBに直接イーサネットでデータを送信することはできません。異なるネットワーク宛の通信は,レイヤ3以上の機器に中継してもらう必要があります。
■デフォルトゲートウェイの登録
IPを使用し,異なるネットワークへの通信を行う場合,ホストにはホストの所属するネットワークのレイヤ3機器(ルータなど)のIPアドレスを,「デフォルトゲートウェイ」として登録しておく必要があります。通常,ルータにはインタフェースごとに異なるIPアドレスが設定されますが,必ずホストと同じネットワークになるIPアドレスをデフォルトゲートウェイとして選択しなければなりません。よってAの選択肢は正解です。
なお,「中継するレイヤ2スイッチのデフォルトゲートウェイ設定が必要」とよく勘違いされますが,レイヤ2スイッチのIPアドレスやデフォルトゲートウェイの設定は,スイッチを管理するためだけに使用され,スイッチを通過する通信には影響しません。レイヤ2スイッチは通信を中継するだけなので,BおよびCの選択肢は誤りです。