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写真●原田 直美氏 ケンコーコム 事業開発室ソリューションプロジェクト部長
写真●原田 直美氏 ケンコーコム 事業開発室ソリューションプロジェクト部長
(写真:辻 牧子)

 ITベンダーには機動力が必要だ。このことを、今年8月に立ち上げた健康食品や健康器具といった商品のレビュー用Webサイト「ケンコミ」向けの、新システムを構築するプロジェクトで改めて感じた。

 ケンコミは、当社にとって重要な新規ビジネス案件。長期的に組めるパートナーを見つけなければまずいと考え、大手や中堅・中小など10社以上のITベンダーに声をかけた。

 事業の立ち上げを急いでいたので、システムの開発期間は3カ月と決めていた。短期開発を実現できるのであれば、システムの開発手法やシステム構成については、ITベンダーの判断を尊重する。こうした方針で、各社の提案内容を吟味することにした。

 ところがだ。ある大手ITベンダーの営業担当者が、「3年先の詳細な戦略も教えてください。そうでなければ提案書を作れません」と言ってきた。少しでも早く新たなWebシステムを作りたいと言っているのに、基幹系の再構築プランを提案しようとでもしていたのだろうか。このITベンダーの営業は紋切り型で、当社の求める動き方はできないだろうと思い、今回は付き合わないことにした。

 「システムの開発手法やシステム構成は、御社で決めてほしい」と言ってきたITベンダーもあった。いくつかアイデアを考えてから、当社の要望を聞いてくるなら問題はない。だがそうではなかった。

 しかも当社が提案を依頼してから、1週間後にこう言ってきた。納期まで3カ月しかないのにだ。「短期プロジェクトだと伝えてあるのに、1週間何も考えずにいたのではないか」と感じた。

 パートナーは見つかるのだろうかと不安になる話は、ほかにもあった。あるITベンダーにはこう詰め寄られた。「短期開発案件だろうと、プロジェクトを成功させるには、現状分析やリスク評価といった手順を踏まなければ、着手できません」。

 真っ当な意見だと感じた。しかし、このITベンダーの言う通りにしたら、3カ月どころの話ではなくなる。技術力が高いと期待していた会社だっただけに、発注することを泣く泣く断念した。

 結局、当社がシステム開発を任せることにしたのは、本命ではなかった無名の中堅SIer。提案活動を見ていて、他社よりも機動力が高かったことを評価した。

 このSIerの営業担当者は、最初に会った時から違った。我々がプロジェクトの概要を説明すると、その場で「1週間後には必ず提案書を持ってきます」と言い、約束を守った。

 1週間で作成したとはいえ、提案書には、具体的なシステム構成や画面イメージなどが盛り込まれていた。さらに、自社だけでは実現が難しい点があることと、それを補うための方策を提示してきたことに、好印象を抱いた。

 ITベンダーが大手かどうか、有名かどうかなど関係はない。ユーザー企業の事情を察し、迅速に動ける会社でなければ、ITパートナーにはなれないのではないか。

 特にWebシステムは、稼働後に、機能の追加や修正が多く生じるものだ。素早く動けるITベンダーでなければ、仕事を任せられない。手続きを重視したところでは、仕事が前に進まない。

 ITベンダーそれぞれに、営業ルールや必要な手続きがあることは理解している。だが、そればかりを重視していては、柔軟性がなくなり、顧客のハートを射止めることは難しいだろう。(談)