営業支援システムに詳しいベテランを投入し、万全の態勢を組む。コンペは最後までもつれた。プレゼンでは、評価者にプロトタイプを実際に触ってもらうといった工夫を凝らした。

「2回目のプレゼンでも、これまで通り、システムの活用方法に的を絞って提案しよう」。アシストの営業力強化事業推進室室長の新本幸司と情報活用支援事業部営業部主任の森将茂は、決意した。
新本と森が担当したのは、冷却ファンやサーボモーターなどの製造・販売を手掛ける、山洋電気の新営業支援システム構築案件である。新本らは1回目のプレゼンで手応えを感じていた。
ところが、受注とまではいかなかった。「次こそは必ずきめる」。新本らは最終選考になるだろう2回目のプレゼンに臨んだ。
営業支援分野の“大家”が担当

山洋電気が営業支援システムを構築することにしたのは、営業現場で重要な情報を共有できるようにするためだ。当時は、顧客が望む特殊仕様の製品を過去に製造・販売したことがあるかどうかなどを確認する際、他の地域の営業担当者に電話で確認しなければならなかった。
日報管理システムにも課題があった。営業担当者のスケジュールを把握しにくかったり、商談の進捗状況をきめ細かく共有できなかったのである。
営業支援システムの構築を決める前、山洋電気の営業本部主任調査員の加藤晃は、これらの問題を解決する方法を模索していた。2006年5月、加藤はアシストが販売する営業支援ソフト「ウェブハロー」のホームページを見つける。加藤は早速、Webサイトに記載されていた問い合わせ先に電子メールを送った(表)。
メールを受け取ったアシストは、山洋電気とこれまで付き合いがなかった。アシストにとっては、新規顧客の開拓ということもあって、営業支援システムの“大家”を山洋電気の営業担当に据えた。
営業力強化事業推進室室長の新本幸司だ。新本は、CRM(顧客関係管理)や営業支援システムの提案活動を10年以上手掛けているベテランである。