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 総務省が2008年8月28日に次期BSデジタル放送(2011年以降のBSデジタル放送)に関する説明会を開催した。ここで本放送の開始に向けた厄介な課題が浮上していることが報告された。参入事業者が割り当てを受けることになる第21・第23チャンネルの電波干渉問題である。具体的には,1.5GHz帯の周波数を利用したPDC方式の携帯電話システムなどに,これらの2チャンネルの電波が干渉を与えるという問題である。

 総務省が調査したところ,屋外設置型の増幅器を使用している一部のBS放送受信システムで第21・23チャンネルの電波を受信した際に,同システムから中間周波数の電波が漏れ,携帯電話の基地局に電波干渉を引き起こすことが分かった。8月28日の説明会で総務省は,「干渉問題を検討している連絡会(一部のBS放送受信システムの電波干渉に関する連絡会)の試算によると,対策が必要なエリアは全国で400~500カ所と推定される」と述べた。

 総務省によると,PDC方式の基地局は全国に4万~6万台設置されているという。このうち400~500台の基地局がカバーするエリアにおいて,戸建て住宅や集合住宅,オフィスビルなどに設置された電波干渉を引き起こすBS放送受信システムを特定し,その受信システムを改修して干渉防止対策を施す必要がある。ただし,改修が必要な受信システムがそれぞれのエリアに何台あるかは,現時点で確定できていない。具体的な改修方法も,これから決める必要がある。

 問題は,第21・23チャンネルの電波干渉問題がいつ解決するのかという点である。総務省は「2011年7月までに解決できるように全力を挙げる」というが,時間はそれほど残されていない。総務省は2008年11月ごろをメドに,次期BSデジタル放送に関する制度整備案を作成する計画である。この段階で電波干渉問題の解決のメドが付いていないと,第21・23チャンネルを次期BSデジタル放送で使用することを制度整備案に盛り込めないからだ。総務省も,「制度整備案を作成するまでに解決のメドが付かなければ,2011年7月の段階で第21・23チャンネルを開放するのは難しい」という。

 2011年7月の段階で第21・23チャンネルが使えない事態になると,次期BSデジタル放送に参入する事業者にも悪影響が及ぶ可能性が大きい。まずは,参入枠が少なくなるため,競争率が上がる。さらに,受託放送事業者である放送衛星システム(BSAT)が,使用していない2本のトラポンの維持費をすべて負担することは考えにくい。そのため,参入できたとしても当面,委託事業者が負担するトランスポンダ(電波中継器)料金が増える恐れがある。