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>>前編 

NGNについては,西日本では第3四半期まで本格的なエリア展開が始まらないが,どういう事情か。

 グループ全体ではNGNを2010年度末までに現在のBフレッツと同等のエリアをカバーするという目標がある。NTT西日本もそれに沿って設備を展開していく。ただ,そのテンポは東日本に比べて,緩やかに始まるということはある。

 理由の一つは,首都圏に企業の拠点や人口が集中している東日本地域と違って,西日本地域は主要拠点が分散しているからだ。需要が集中していれば,設備の投資効率も高められるので展開は早くなる。

 西日本地域は,県庁所在地といっても需要がまばらなところが少なくない。こうした状況を踏まえて,投資効率を考えながら,大都市近郊を先に充実させるなど工夫をしてエリア展開していく。

 ただし,これは一般ユーザー向けのフレッツ 光ネクストの展開計画であり,企業向けのビジネスイーサ ワイドについては,ユーザーの需要見合いで早めに展開していく計画だ。NGNは,速度やセキュリティ強度が特徴であることから,まずは企業から需要が立ち上がると見ている。

いずれは既存の光回線を含めてすべてNGNに統一するのだから,一気にエリア展開した方が販売もしやすく,移行の手間を省けるのではないか。

大竹 伸一(おおたけ・しんいち)氏
写真:的野 弘路

 これは考え方による。まだ光回線ユーザーが10万,20万といった規模であれば,一気にNGNを展開した上で,既存ユーザーにも移行してもらうやり方は成立する。

 だが,西日本でも400万以上のユーザーが既存サービスを使っている。これをユーザーに迷惑や手間をかけずに切り替えるには,工事などの立ち会いなどが不要になるように,リモート操作で移行できる技術を開発した方が良いと判断した。

 400万件を今,人海戦術で切り替えるのが良いのだろうか。NGNが完全に展開していないしばらくの間は既存サービスを売りながら,500万,600万となったところで経済的に効率の高い方法で切り替えるのと比べて,どちらが良いかは一概に言えない。

 ただし既存サービスで満足しているユーザーもいることを併せると,移行時期をしばらく後にして,NGNを魅力のあるサービスにしていく方がメリットが高いという考えだ。

NGNのインフラを展開する上で難しい課題など問題があるのか。

 そういう問題はない。西日本ではフレッツ・光プレミアムというv6網を構築してきた。つまりNGNに生かせる技術が既に育っているため,特に問題なくNGNの運用を始められる。

 外部企業とのパートナシップでもこれまでの蓄積を生かすことを考えている。西日本では2年前から,v6網の機能を使った新サービスを開発するために「v6プレミアム・フォーラム」を組織してきた。NGNではこれを全国規模に広げた「次世代サービス共創フォーラム」を持ち株会社とNTT東日本と一緒に運営する。v6プレミアムフォーラムはいずれ発展的に解消することになるが,これまでの取り組みをそちらに移していきたい。

NTT西日本は売上高が2兆円を切るなど,経営的にも節目にある。増収実現に向け,今後どのような会社にしていくのか。

 NGNの上には電話だけでなく,データやSaaSなど様々なものが乗っていく。さらに,これらを使いやすくするための宅内のサポートにも力を入れる。

 そうした意味では,情報通信そのものに限定せず,情報通信に関連するあらゆるサービスを提供する会社になっていかなくてはならない。

 その実現のためには,サービスを提供する際の意識も質的に変えなくてはならない。これまでは「カスタマーファースト」ということで,ユーザーに真摯に向き合い満足度の向上を図ってきた。次の段階の目標は「ウィズ・カスタマー」だ。ユーザーと対峙するのではなく,同じ目線に立って考える。

 基本姿勢は変わらないが,要望に対応するだけでなく,ユーザーがどういうサービスを求めているか,どのようなサポートが必要かという視点を大事にしていきたい。

NTT西日本 社長
大竹 伸一(おおたけ・しんいち)氏
1948年生まれ。愛知県出身。71年に京都大学工学部を卒業し,日本電信電話公社に入社。2000年にNTT持ち株会社・第二部門長,2002年にNTT-ME東京・代表取締役社長など歴任。2004年6月にNTT西日本の常務取締役,2007年に同副社長,戦略プロジェクト推進本部長として中期目標を練った。2008年6月に現職のNTT西日本代表取締役社長に就任。趣味は散歩と将棋。

(聞き手は,松本 敏明=日経コミュニケーション編集長,取材日:2008年7月25日)