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アクセンチュア
システムインテグレーション&テクノロジ本部
インフラストラクチャコンサルティング統括パートナー
森 泰成

経営コンサルティング本部
戦略グループ コンサルタント
杉原 雅人

 データセンターは,企業のITによる電力消費量のうち多くを占めている。そしてデータセンターのグリーン化にメスを入れることができるのは,社内において情報システム部門だけである。

 今回はデータセンターにとっての省電力化の意味とグリーンITの切り口について考え,実際に省電力施策の検討を進める際に有用なツールについて紹介する。

データセンターのリスクは「スペース」よりも「エネルギー」

 近年の積極的な情報システム化により,データセンターに要求されるコンピューティング量の増加は凄まじい。これを米国におけるサーバー台数で見ると,2000年から2006年で5600万台から1億1000万台と約2倍に増えている(IDCの公表データによる)。また,EPA(Environmental Protection Agency;米国環境保護局)によれば,米国におけるデータセンターの電力消費量は,この間に282億kWhから614億kWhと2倍以上,年率約14%増加している。

 一番の問題は,電力の供給枠をタイムリーに増やすのは容易ではないということである。今やデータセンターがビジネスからの要求に応えるために対処すべき最大の課題は,さかんにITベンダーが指摘する「機器統合による省スペース化」というよりは,必要とされるコンピューティングを行うための「電力の確保」である。端的に言って,スペースの問題はムーアの法則により解決されるが,電力と空調の問題は残されている。

省電力サーバーや仮想化以外にも切り口はある

 データセンターのグリーン化に関してよく言われるのは,省電力型のサーバーやストレージの採用や,従来からコストダウンのために実施してきたサーバーの統合化・仮想化であろう。ここではそうした取り組み以外にどのような切り口があるのか考えてみたい。

■スマート・リダンダンシ

 サーバーやストレージは,利用効率を向上させるために統合化・仮想化する一方で,事業継続性の確保のために冗長化(クラスタリング,バックアップ)する必要がある。

 統合化・仮想化においては,主目的である機器のハードウェア・コストや導入・保守コストを削減するための方策が,同じように消費電力の削減にも有効となる。一方,冗長化は必要な可用性レベルの確保のためにやみくもに実施された結果,実現方法にムダのある場合も多い。

 例えば,データのバックアップとアーカイブをそれぞれ独立に実施するかわりに,その順序について,まずアーカイブにデータを移動してから残りの現用データについてバックアップをとることにより,ムダなバックアップ処理とストレージを除いて電力消費を低減しコストダウンすることができる。同じ可用性レベルを実現するのに,より低い電力消費ですむ冗長化をスマート・リダンダンシと呼ぶ。

■インテリジェント・リフレッシュ

 データセンターのファシリティに対する施策に合わせて,単純にすべてのサーバー機器を省電力型に更新すべきと言えるほどグリーンITの投資対効果が大きいケースは少ないであろう。だからと言って,機器更新の時期を考えない施策では効果にムダが大きい。

 実際,サーバーはアプリケーションごとに稼動開始に合わせて調達され,その結果アプリケーションごとにサーバー老朽更新時期が異なるという場合が多い。投資をともなう施策の実施時期をタイムリーに効果のでる更新時期に合わせたり,データセンター全体で更新時期を平均的に分散させておくことにより,施策の実施時期を制約しないようにすることをインテリジェント・リフレッシュと呼ぶ。

 例えば,データセンターの電源を直流対応にすることは,電力消費を低減するのに非常に有効だが,サーバーを直流電源対応の機種に更新してはじめて効果がでる。大規模なサーバー更新時期に合わせて実施することで投資効果を最大にすることができる。