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今話題の仮想化技術は,そのルーツがメインフレームの時代にあるとされてはいるが,「今の仮想化ならでは」の特徴もあり,全く新しいものと考えたほうがいいだろう。また,サーバーの仮想化のみならず,さまざまな分野で仮想化が始まっている。
今回の仮想化検定では,そうしたトレンドを踏まえて幅広い分野から10問を出題した。仮想化技術の動向を注意深く追っていないと解けないような問題も含まれていたが,平均点は予想を上回る50.5点となった。
【仮想化検定】の受検者数と平均点
受検者数 | 平均点 | |
---|---|---|
Webサイトでの受検 | 591 | 51.6 |
展示会場での受検 | 95 | 43.5 |
総合 | 686 | 50.5 |
問題ごとの正答率を見ると,基本的な技術に関する問題の正答率が高かった。サーバー仮想化の問題で正答率が高いのは予想通りとしても,最近注目され始めたばかりのデスクトップ仮想化やI/O仮想化についても,6割前後の受検者が正解した。一方,技術以外の問題では,全般的に正答率が低めとなる傾向がみられた。
【仮想化検定】の正答率
問題 | 問題1 | 問題2 | 問題3 | 問題4 | 問題5 |
---|---|---|---|---|---|
正答率(%) | 86.7 | 65.3 | 56.7 | 39.1 | 61.4 |

問題 | 問題6 | 問題7 | 問題8 | 問題9 | 問題10 |
---|---|---|---|---|---|
正答率(%) | 32.8 | 36.9 | 59.5 | 31.0 | 35.4 |
惜しくも不正解となった複数選択問題
複数の選択肢を選ぶ形式の問題(計4問)で正解を選びきれず,正答率が低くなるケースも多かった。仮想化技術について理解しているものの,あと一歩のところで惜しくも点を取り逃していたのだ。このあたりの回答状況を詳しく見てみよう。そこからは,また別の回答傾向も読み取れた。
【問題6】
デスクトップ仮想化には,一般的にどんな利点があるでしょうか。該当するものをすべて選んでください。
【選択肢】 | 正解 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
正解は「選択肢AとBとC」だが,これらをすべて選択した正答率は32.8%だった。実は,問題6で一番多かった回答は「BとC」で,35.9%もあった。つまり,選択肢Aの「ハードウエアの利用効率が高まり,省電力化につながる」という利点を見落としていたわけだが,それ以外はデスクトップ仮想化のメリットを正しく理解していたことになる。その点は非常に惜しい結果となった。
デスクトップ仮想化による省電力効果は,「デスクトップPC」を「シン・クライアント端末+デスクトップ仮想化サーバー」に置き換えた時にもたらされる。一方,もしクライアント側がデスクトップPCのままでデスクトップ仮想化サーバーを設置すると,消費電力は増えるだろう。問題6は前者のシステム構成を前提にしているが,その点が分かりにくかったかもしれない。
同様の現象が問題4でもみられた。
【問題4】
サーバー仮想化技術を導入する動機の1つは「サーバー統合」ですが,VMwareやXenServerなどの仮想化ソフトを導入した企業の多くは,「サーバー統合」以外にも大きなメリットを感じているようです。それは次のどれでしょうか。該当するものをすべて選んでください。
【選択肢】 | 正解 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
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正解は「選択肢AとBとC」だが,3つの選択肢をすべて選んだ正答率は39.1%にとどまった。
ちなみに,正解となる3つの選択肢の内,2つを選んだ回答の合計は29.7%もあり,「あと一歩」で正解に至らなかった。特に,選択肢Bの「夜間などに物理サーバーの稼働率が下がったとき,システムを止めずに一部の物理サーバーの電源をオフにできる」という省電力化のメリットを選び損ねた回答が多数を占めた。
ここで,新たな回答傾向が見えてきた。前述したように,問題6でもデスクトップ仮想化の利点として「省電力化」を見落とす回答が多かった。さらに,ストレージ装置の省電力化と密接な関係にあるシン・プロビジョニングの設問(問題7)でも,変則的な選択肢ではあるが,受検者の多くが省電力化のメリットを見落としていたと思われる。
最近はIT機器やデータセンターの省電力化を目指した「グリーンIT」が注目を集めている。そして,仮想化技術はグリーンITにおいても極めて重要な役割を果たすと期待されている。いまのところ,仮想化技術は「サーバー統合」や「古いサーバー・システムの延命」の手段として導入される例がほとんどであり,仮想化技術を省電力化のために利用することへの関心はまだ低い。こうした状況が仮想化検定の回答に表れたのかもしれない。だが,省電力化は仮想化技術が担う重要な役割なので,ぜひ理解しておいてもらいたい。