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 投資ファンドの存在が目立っている。今年5月,米投資ファンドのスティール・パートナーズが筆頭株主であるアデランスホールディングスの取締役7人が,株主総会で再任を否決された。国内では良い印象を持つ人はあまり多くないだろう。

 本書は多数のファンドを運営するカーライル・グループについて書かれたものだ。取材の跡を感じさせる労作で,現在同グループ会長を務めるルイス・ガースナー氏へのインタビューで始まる。コバレントマテリアル(元東芝セラミックス)やキトーといったMBO(経営陣による企業買収)事例の章は読み物としても楽しめる。投資ファンドの存在を通じて経営とは何か,企業とは誰のものかを考えさせられる。

カーライル

カーライル―世界最大級プライベート・エクイティ投資会社の日本戦略
鈴木 貴博著
ダイヤモンド社発行
1890円(税込)