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ベリングポイント 代表取締役社長 兼 北アジア地域統括責任者 内田 士郎氏
ベリングポイント
代表取締役社長 兼 北アジア地域統括責任者
内田 士郎氏

 将来の予測が難しい不確実な時代にあって、企業がグローバルで勝ち残っていくためにどんなことが必要になるのかを考えてみたい。

 ITの発展で世界の動きが速くなったと言われるが、経営資源である人、モノ、カネに、ITによる情報が付加され、世界中を駆け巡るようになった。その結果、グローバルな競争が激化している。人は最もコストが安いところに移り、モノは生産拠点を最適化するグローバルサプライチェーンを形成する。カネは、サブプライムローン問題ではないが、実体経済と離れた金融経済の形で世界を動かしている。

 こうした中で、経営者は情報の価値を時間の価値に変えていく必要がある。経営資源の中身は企業ごとに異なるが、時間は誰でも同じ24時間・365日である。ITを活用して従来と同じ時間で生産量を倍にできれば、生産性は2倍になる。また、従来の半分の時間で同じ量を生産できれば、コストは2分の1になる。収益を高め、市場競争力を向上できるようになるのだ。

グローバル企業と一緒にIT業界も海外に出るべき

 1990年代後半までは、ITの活用とグローバル化はほぼイコールだった。パソコンの新OSやメールの普及、インターネットの閲覧ソフトの登場、ERPの導入など、ITによる企業情報のネットワーク化はグローバル化と同義語だったのである。

 しかし現在は、ITとグローバル化はイコールとは言えなくなっている。そうした中でIT業界の役割も変わってきている。これまで、インフラやアプリケーションの提供で企業活動をけん引してきたIT業界自身のグローバル化が求められているのである。例えば、当社ではグローバルサプライチェーンの構築や、日本企業の海外子会社の内部統制構築といった海外での案件が増えている。国内でソリューションを提供すればよいという時代ではないのだ。そのため、IT業界もグローバル企業と一緒に海外に出てソリューションを広げることが重要になる。

 こうした事業環境の変化への対応は、企業に共通する課題だろう。変化への適応で問題になるのが、確定問題・ランダム問題・不確定問題の3つである。確定問題は、問題を解決する方法、つまり必要な情報が見つかれば解決できる。ランダム問題は方向を示すことで解決できる。解決が難しいのは不確定問題である。問題の解決法がある程度予測できても、自社の経営にどう影響してくるか分からないからだ。

 今日の企業では、インターネットなどITの活用で企業内に膨大な情報が蓄積されている。情報の不確定要素が増えれば、情報の価値も下がる。そこで、情報を収集するだけでなく、情報の不確実性を判断・分析・検証するといった認識力が重要になる。また、ITを活用して情報を正確に分析しても、情報の受け手である利用者の主観によって情報の価値が異なることがある。その結果、アクションやパフォーマンスが違ってくる。この情報処理の限界を理解する必要がある。

ITの活用で省力化を図り人間力で競争力を創出する

 経営者は不確定な情報の中でグローバルな競争をしていかなくてはならない。しかし、バラバラの情報を組み合わせながら、ビジネスを展開しているのが現状ではないだろうか。そこで、グローバル競争に勝つ経営を行うための4つの視点を紹介する。

 第1が帰納的、演繹(えんえき)的思考+仮説検証思考である。現状のあるべき姿に変えていく帰納的思考、経営目標をどう実現するかを考える演繹的思考に加え、仮説を立てて検証する仮説検証思考が必要になる。ポイントは仮説を精緻化することである。そのために、正しい情報を収集、分析し、実行していくことが重要になる。

 第2が組織の能力と個人能力のバランス。例えばプロジェクトなどで、個人の優れたパフォーマンスに任せるのか、あるいは組織全体で発展させていくのか、そのバランスをとる。

 第3はワールドクラス。グローバルな展開で、常にワールドクラスを意識することである。ワールドクラスの業務プロセス、人材育成など様々なものがある。また、ワールドクラスの企業との仕事もそうだ。“失われた10年”の時でも、グローバル展開に打って出て、ワールドクラス企業として成功した日本企業は少なくない。同様の努力が今日の企業にも求められる。

 そして、第4がITの活用と人間力である。ITが発展すればするほど情報が増え、それを判断、分析する人間の能力が必要になる。また、IT化はシステム導入が目的ではない。企業の目標達成のためにITをどう活用するかは、人間力にかかっている。ITの活用で省力化を図り、それが利益の源泉になる。そして、競争力の源泉となるのが人間の創造性であり、国や文化の違いを超えて多様性を包み込む人間力である。日本のグローバル企業をより強くするためのサポートが当社の思いである。IT業界の発展を含め、日本を強くしていきたい。