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 ビジネスクライアントをリモート管理する機能やセキュリティー向上のための機能をハードウエアに実装しておけば、OSが止まっても電源が入っていなくても、これらの諸機能を利用することができる。こうしたハードウエアとソフトウエアを組み合わせたプラットフォームの実例として、インテルの「インテル vPro プロセッサー・テクノロジー」を解説する。


 本連載も第7回目となった。ここで連載の目的を再度、確認しておきたい。それは、高性能かつ信頼にたる理想のビジネスクライアントを実現する方法を探ることである。そのためには、PCをハードウエアやソフトウエアが有機的に連携して動作する『プラットフォーム』として捉えることが必要だ。なぜなら、ソフトだけのソリューションには、「OSが止まったら使えない」「PCの電源が切れていたら機能しない」という限界があるからである。

 この限界を超えるためには、クライアントを管理する機能やセキュリティー向上のための機能、またはこれらの一部を支援する機能を、ハードウエアに実装すればよい。すなわち、リモート管理のためのファームウエアをBIOSチップあるいは専用のフラッシュメモリーに内蔵すれば、最小限のコストと設置スペースで高度なリモート管理機能をクライアントPCに実装でき、この機能とソフトウエアを組み合わせることで、理想のプラットフォームに近づける。

 この考えを具現化した初めてのリッチクライアント向けプラットフォームが、ビジネスクライアント専用として開発されたインテルの「インテル vPro プロセッサー・テクノロジー(vPro)」である。vProは複数の技術の集合体で、クライアント管理のための機能は「インテル アクティブ・マネージメント・テクノロジー(インテルAMT)」と呼ばれる。

 インテルAMTのロジックは、チップセット内部に統合されており、サーバー向けリモート管理アダプタのように、クライアントPCのリモート管理を確実に行えるように設計されている。今回は、このAMTの生い立ち、そしてvProベースのビジネスクライアントを支えるAMTのアーキテクチャについて解説する。

生い立ち:2002年から長期計画が始まった

 まず、AMTの生い立ちを振り返ってみたい。2002年、インテルの研究開発部門(Systems Technology Lab)は、通信関連の事業本部(Intel Communications Group)とともにシステムやネットワークのリモート管理を担う技術の開発に着手した。これが、AMTの出発点である。

 インテル自身がコンピュータのリモート管理に対して本格的に携わった時期は、1998年までさかのぼる。この年に発表されたIPMI(Intelligent Platform Management Interface)である。IPMIは、サーバープラットフォームの動作状態(温度、電圧、ファン回転速度、バス状態など)、監視や復旧、リモート制御を行うためのオープンなインタフェース規格で、インテルを含むさまざまなベンダーによって策定されている。

 IPMIはCPUやOS、BIOS(の基本機能) には依存しない。IPMIを使うと、コンピュータの電源がオフの状態であっても、リモートから制御できる。現在、サーバー向けのリモート管理技術として普及しているが、インテル自身はクライアントPCにおいても同じようなことを実現したいと考えたのだろう。

 2003年には社内のプランニングフォーラムの一部であるIT Strategic Long Range Planningでこの研究開発の現状が発表され、構想の実現に向けた長期計画が本格的にスタートする。具体的な製品開発として、2004年から、LANコントローラにリモート管理エンジンを内蔵したAMTの第1世代(AMT 1.0)の開発に着手する。これは、Tekoaという開発コード名で知られていた製品だ。