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 1920年の開業以来、地域に根ざした医療を提供し続けてきた奈良県天理市の高井病院。現在、奈良県における心臓血管センターとしての役割も果たしている同院は、常に最新の医療機器や設備を導入、人員も積極的に採用し、先進の医療環境を実現している。今回は、地域の医療連携まで視野に入れたIT活用の一例として、同院の取り組みを紹介する。

64列CTによる低侵襲アンギオが検査の間口を大きく拡げる

「他院に先駆けて最先端の医療機器を導入し、いち早く先進医療を届けることが当センターの使命」と語る高井病院心臓血管センター長の西田育功氏
「他院に先駆けて最先端の医療機器を導入し、いち早く先進医療を届けることが当センターの使命」と語る高井病院心臓血管センター長の西田育功氏

 高井病院に心臓血管センターが開設されたのは5年前の2003年8月。先進的な医療機器と熟練したスタッフを備えた施設として誕生した。常勤の循環器内科医、心臓血管外科医をはじめ、臨床工学士、診療放射線技師、循環器専門看護師、生理機能検査技師、理学療法士(心臓リハビリテーション指導士)などからなるチームで、50床の病床と救急、専門外来・検査などを運営している。

 最先端機器が揃う心臓血管センターとして、開設以来、奈良県全域から数多くの患者を集め、毎年、診断で約1200例、治療で約400例と、年間1600例以上ものカテーテル検査を実施してきた。今年6月末までの累計は8683例にのぼる。しかしここにきて、患者の負担が大きい診断カテーテルを削減し、治療を要する患者だけにカテーテルを実施するようになっているという。そのきっかけになったのが、2006年に導入したフィリップスの64列CTだ。

 「これまでは1症例に診断と治療で2回のカテーテルを実施していましたが、最近では侵襲度が高い診断カテーテルを極力行わず、まずはCTで診断して治療戦略を立てるケースが増えています。これにより、診断カテーテル数は減りましたが、治療数は増加傾向です」(心臓血管センター長の西田育功氏)。その言葉どおり、昨年の治療数は例年の約2倍に当たる860例と、県内トップを達成した。「カテーテルは危険、怖いといった開業医の先生方や患者さんの不安を、CTアンギオ検査で払拭できたためではないでしょうか」と、西田氏は分析する。

先進のネットワーク環境やアプリケーションにより治療件数を向上

心臓血管センター専用の64列CT
心臓血管センター専用の64列CT

 CTによる低浸襲検査への安心感以外にも、数多くのプラス要因が治療件数増につながっていると西田氏は分析する。そのひとつが、院内画像ネットワークシステムを活用した画像の活用だ。同院では、静止画専用サーバーとカテーテル動画専用サーバーを導入して、画像の管理と保存をリアルタイムに行っており、病状説明や疾患治療に役立てている。「PACSネットワークを利用して、院内のあらゆる場所で閲覧できる環境を整備しています。通常の2次元画像では伝わりにくい病状も、3次元構築したCT画像や動画で説明することで、患者さんへの説得力が増すし、治療に対するより深い理解を得ることができます。これらも、治療数の向上に大きく影響しているのでは……」と西田氏は推察する。

 さらに高井病院では、これまで全く別々に利用していたCTの立体画像とアンギオの血管造影画像を連動させる最先端アプリケーション「TrueView」(フィリップス社製)を導入した。これは、CT画像上で見えている冠動脈の配置に合わせて、アンギオのX線透視の角度を自動調整するもの。これにより、患部血管を最も長く見える位置(正横)からとらえるのが容易になった。

 「精度と治療スピードが向上することで様々なメリットが生まれます。治療に要する時間が短くなると、当然、その間のX線被曝量や、造影剤の使用量も抑制でき、患者さんにとってより負担の少ない治療が可能になります」(西田氏)。こうした一つひとつの取り組みが同院の評価を高め、患者数や治療数の増加に結びついているようだ。