前回のITpro EXPOでは試験的に提供した携帯電話機向けのコンテンツ配信サービスを,「EXPOモバイル」と命名して,サービスを拡張・整理した。このEXPOモバイルの主要サービスは,EXPOニュース,EXPOナビ,EXPOチャンネルの三つである(図1,図2)。
EXPOニュースは,画像入りのニュース記事を携帯のブラウザで閲覧できるようにするもの。PC向けのITproサイトに掲載するニュースと同じものを配信する。もちろん,写真なども表示できる。前回のITpro EXPOでは140本以上の記事を公開した。今回の展示会では規模がさらに大きくなっているので,前回以上の速報を配信する予定だ。
EXPOナビは,展示会場までの交通案内,会場見取り図,フォーラムのスケジュールなどを提供する。目玉は,事前登録者ごとに用意するスケジューラ機能(Myスケジュール)だ。

このために,ITpro Mobileサイトを大幅に強化し,ユーザー認証機能を実装した。Myスケジュール・ページで自分が事前申し込みしているフォーラムのスケジュールを確認し,そこからフォーラムの詳細情報や開催会場の見取り図を表示させるといったことが可能になる。
EXPOチャンネルは,展示会場内だけにワンセグ番組を配信する「エリア限定型のワンセグ実験」である。映像のほかに,データ放送用の仕組みを使ったデータ番組も用意する。
EXPOナビ
携帯サイトにも認証機能を実装
EXPOニュースやEXPOナビのサービスを提供するITpro Mobileサイトは,携帯ブラウザに合わせたHTMLデータを配信するWebサイトである。システムはPC向けのITproサイトとさほど変わらないが,これまでのITpro Mobileサイトにはユーザーを認証する機能がなかった。
携帯ブラウザでは,CookieやJavaScriptが使えず,PC向けサイトと同じ方法でユーザーを認証することができなかったためだ。しかし,EXPOナビを実現するにはユーザーを識別して,そのユーザーが申し込んだフォーラムの一覧などを表示する必要がある。つまり,ユーザー認証機能を実装するしかない。ここから,EXPOナビの開発が始まった。
携帯の端末IDを認証に使う
まず,候補に挙がった認証方法は,最初にユーザーIDとパスワードでユーザーを認証し,その後は一定期間だけ有効なランダムな文字列をURLに付けてアクセスさせる方法だった。例えば,「http://xxx.jp/abc.html」にアクセスする際には,「http://xxx.jp/abc.html?id=xyz」のようにURLの最後に無意味な文字列を付加する手法だ。xyzがユーザーのログインごとにシステムがランダムに割り当てる文字列である。こうした手法は,比較的初期から携帯向けサービスを提供しているWebサイトが採用しており,端末の種類にあまり依存しないで利用できる。
しかし,この手法は採用しなかった。ITpro MobileではPC向けサイトと同じ記事DBを参照して,ニュース記事などを配信しており,記事内には関連記事などのリンクが多数埋め込まれている。ところが,そのリンクには,ランダムな文字列は記述されていない。サーバー側で動的にリンク先URLを書き換えることも不可能ではないが,ユーザーがその記事をブックマークしても,次回のアクセスでは無効になってしまう(一定期間でランダムな文字列は無効になる)。
もっとスマートな方法はないものか。そこでITpro Mobileでは,携帯電話機それぞれに固有に割り振られている端末IDを認証キーに使う手法を採用することにした。
この手法は,グーグルの無料メールサービスGmailの携帯向けサービスなどが採用しており,最近の携帯電話機ならほぼ対応している。
携帯ブラウザはWebサーバーにアクセスするとき,HTTPヘッダー中に端末IDを記載するので,これをキーにユーザーを識別するわけだ。具体的には,ITpro Mobileサーバーとそのバックエンドの認証サーバーなどが連携して,携帯ブラウザから送られてきた端末IDが,あらかじめ登録されているものかを調べる(図3)。
ただし,端末IDとITpro会員のユーザーIDを対応づける必要があるため,既にITpro会員になっていても,一度はITpro Mobileへの端末登録作業が必要になる(2ページ目の「ITpro Mobileサービスの登録手順」を参照)。