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 『日経コミュニケーション』では毎年,約3900社を対象に企業ネットワークの実態調査を実施している。2008年は,9月15日号の特集記事「“オール光”化へ突き進む企業ネット」で,調査結果を公開した。

 ここ数年の企業ネットワークにはIP-VPNと広域イーサネットが定着し,小規模拠点を結ぶ支線系のネットワークを中心に,ブロードバンドを使う低料金のインターネットVPNへのシフトが進んでいる。背景には光ファイバを使うブロードバンドが,企業のアクセス回線の定番として使われるようになったことがある。

 今回の調査から,企業の幹線系ネットワークのアクセス回線は7割が光回線となっていたことが明らかなった。支線系ネットワークでも5割を超えている。現在NTT東西が推進している「2010年度までに光ファイバ2000万回線」という計画とあいまって,さらに光ファイバは企業のネットに広がっていくだろう。

予想以上に伸びたビデオ会議とシン・クライアント

 調査結果の中には,大きく予想を裏切られるものがあった。その一つが,企業内のビデオ会議の浸透度。4割強の企業が利用していると答えたのだ。ビデオ会議はブロードバンドのキラーアプリと呼ばれて久しいが,筆者にはそれほど導入が進んでいるという実感はなかった。

 ユーザーに利用状況を取材すると「使ってみると,予想以上に使いやすかった」という声が聞こえてくる。光ファイバの展開によって,拠点でも広帯域の映像をやり取りしやすくなったことが導入を後押ししたようだ。さらに業務効率化やコスト削減という目的のため,出張を代替する役割で使われているという。

 シン・クライアントに対する結果も予想外だった。導入済みが約9%で導入予定・検討中が約18%,将来利用したいという企業が約42%に上ったのだ。これもブロードバンドの拡大によって,広帯域を必要とするシン・クライアントの導入が現実のものになったと考えられる。

 その一方,NTT東西が光ファイバの展開と並行して,構築を進めているNGN(次世代ネットワーク)は厳しい評価となった。エリア拡大の途上で,利用できる地域がまだ限られているという事情はあるが,NTT東西のNGNを使っていると答えたのは1%弱で,導入予定・検討中が約6%。将来利用したいという企業は約18%。シン・クライアントの数値と比べて大きく下回った。NTT東西は将来のネットワークとしてNGNの構築に力を入れており,周辺の通信事業者からの関心も高い。ただしユーザーへの本格的な普及は,エリア拡大とサービスの充実が進む来年以降となりそうだ。

 携帯電話事業者各社が端末を相次いで投入しているスマートフォンについても反応は鈍い。現在使っているが2%強で,将来利用したいが約11%。第3.5世代携帯電話の普及などによって,企業ユーザーによる携帯電話のデータ通信利用率は4割弱あるが,スマートフォンの導入には至っていないようだ。今後は個人ユーザーに爆発的に売れた米アップルのスマートフォン「iPhone 3G」を法人展開する動きや,米グーグルの開発プラットフォーム「Android」でスマートフォンを開発する動きが見えている。これから,この分野がどう動くかに注目だ。

 調査結果から,企業ユーザーのネットワークに対する考え方は,通信サービスの環境変化に伴って少しずつ,そして確実に変化していることは見て取れる。ただ,提供する側の通信事業者の思いとサービスを導入する企業の思いは必ずしも一致しないようだ。

事業者のサービスはユーザーにどう見えているか

 こうした思いもあって,日経コミュニケーションでは10月17日に企業のネットワークの最新動向にかかわるセミナーを実施することにした。セミナーは題して,「3.0時代に入った企業ネットワーク」。まず最初の2時間はITproのコラム「間違いだらけのネットワーク作り」でおなじみのNTTデータの松田次博氏に,最新の企業ネットワークの動向についてプレゼンしてもらい,その後で私と松田氏が対談形式でこれからネットワーク担当者が何をすべきかを考える。

 現時点では,「NGNは必要?」,「無線ブロードバンドはどこまで使える?」,「企業にとってのAndroidの可能性は?」「クラウド・コンピューティングで何が変わる?」といった質問を考えている。事業者が展開するサービスが企業ユーザーにとってどう見えているか,あるいはこれらにどう対応すべきかについて,日ごろから企業ユーザーに接している松田氏との対談を通じて明らかにしていく。

 さらに当日は,会場からの質問に答える時間を設けるつもりだ。今後の企業ネットワークのあり方に興味がある方は,ぜひ参加を検討いただきたい。