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 先日,自宅のパソコンを買い換えた。新たに買ったパソコンは,ULCPC(Ultra Low-Cost PC:超低価格PC)と呼ばれる,新カテゴリに属するパソコンである。ULCPCを選んだ理由,その機種を買った理由は,実に単純だ。カテゴリの定義の通り,価格が安かったからである。

 ULCPCがなぜ安いのかと言えば,米Intelと米Microsoftの2社が,ULCPC向けに特別に安く部材を供給しているから,と言われている。ユーザー視点で見れば,ULCPCの基準を満たす低スペックなパソコンで良ければ,とても安く買える,という仕組みらしい。

 記者が今回ULCPCを買った目的は,メインで使っているパソコンの置き換え。供給側が想定しているであろう主な用途からは外れている。すなわち,セカンド・マシン用途でもなければ,モバイル用途でもない。もちろん,生まれて初めて買ったPCというわけでもない。購入したULCPCはノートPCの形状をしているが,今まで使っていたPCから引き継いだ15インチ(1024×768ドット)の外部ディスプレイとキーボード/マウスを外付けして使っている。

 今回ULCPCに置き換えて廃棄したパソコンは,ATXタワー型であったため,大きくて邪魔だった。CPU性能や3次元グラフィックス機能も無駄に高かったので消費電力も騒音も大きかった。これを何とか改善したかった。それも,できるだけお金をかけずに。そこで目を付けたのが,ULCPCだった。ノート型のULCPCは,小さくて邪魔にならず,消費電力も騒音も小さい。そして何よりも価格が安かった。

ゲームをやらないなら安物で十分

 正直に白状すると,これまでは,自宅パソコンと言えば性能がすべてだった。パソコンの目的は,そのほとんどがゲームで遊ぶことだった。ゲームを快適に動作させるためには,CPUは速ければ速いほどよく,3次元グラフィックス処理能力は高ければ高いほど良かった。サウンド・カードも,デジタル処理でCPUに負荷を与えないものを,わざわざ別途買っていた。お金を注ぎ込んで高性能を維持することに,何の疑問も持たなかった。

 ところが,記者はパソコン・ゲームという趣味を卒業してしまった。ゲームに夢中になるだけの体力や気力が衰えたためだ。そして,いざゲームをやらなくなってみると,パソコンが高性能である必要は,全くなくなっていた。現在の自宅でのパソコン利用というと,Webやメールなどが,ほぼ100%を占める。これ以外の用途では,ほとんどパソコンを使っていない。どちらかと言えば,パソコンに電源を入れない日の方が多い。

 そして心配になった。もう高性能なPCのニーズはないのではないか,と。

 低消費電力や価格の安さが重要課題として叫ばれる現在,高性能パソコン普及のための推進力として考えられるのは,一体何だろうか。今後,ゲームが大きなブームとなるのか。または,ゲームを超える,新たなキラー・アプリケーションが登場するのか。すでにゲームをやめた人間が言うのも変だが,性能を要求するゲームのようなキラー・アプリケーションが登場しないことには,高性能なPCのニーズは減る一方だろう。

 気になって調べたところ,通常のパソコンと現行のULCPCを分かつ性能の溝は,デジタル・ビデオ映像のデコード再生にあるようだ。ネット上で発見した動画によれば,「Eee Box B202」(シングル・コアで1.6GHz動作のAtom N270と945GMEチップセットを搭載)では,720pは問題なくソフトウエア・デコードできているものの,1080pは実用に耐えないようである。現状のULCPCでは,1080pのビデオ動画をコマ落ちなく再生するのは厳しい,ということを示している。