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 第2回目の今回は,PMBOKの基本的な概念や用語について,お話していきましょう。

重要な段階的詳細化の概念

 前回述べたとおり,PMBOKでは,プロジェクトを「独自のプロダクト,サービス,所産を創造するために実施される有期性の業務」と定義しています。

 この「独自性」とは,定常業務とは異なり,「誰もやったことのない初めての仕事にチャレンジする」ということです。独自性がある「初めての仕事」なので,プロジェクトの初期段階で最後までの業務を見通すことは困難です。というか,不可能です。これがやっかいなところです。それなのに,納期とコストは決められてしまっていることがほとんどですね。そこで登場するのが,「段階的詳細化(Progressive Elaboraton)」という概念です。

わからないところは大まかに定義しておき,
プロジェクトの進行によって,
理解が深まったら詳細定義する

 これが,段階的詳細化です。プロジェクトならではの,非常に重要な考え方です。

 例えば,「工数計画」を検討する時を考えてみましょう。近々の仕事は見えているので詳細に工数を見積もります。でも,将来のプロジェクトで行う仕事は大まかにしか分からないので,最初は大まかに見積もって「工数計画Rev.1」とします。そして,細かいところが分かってきてから詳細化(再見積り)します。このように段階的詳細化の概念で計画を立案することを,特に「ローリングウェーブ計画法(Rolling Wave Planning)」と呼びます。

 段階的詳細化という概念が適用できるのは,計画だけではありません。例えば,PMBOKには,「プロジェクト・スコープは,プロジェクトの初期には大まかに定義しておき,プロジェクト・チームが目標および要素成果物に関してより理解が深まるにつれて,より明確,詳細に定義する」と書いています(「プロジェクト・スコープ」については後で説明します)。繰り返しになりますが,プロジェクトは独自性がある仕事(初めての仕事)であり,すべてを見通せません。このため,段階的に見通していくこと,は大変重要です。

プロジェクトのライフサイクルとフェーズ

 ある程度大きなプロジェクトでは,始めから最後までの活動を,いくつかの単位に区切ってマネジメントします。この単位を,「フェーズ」(または「プロジェクト・フェーズ」)と言います。PMBOKでは,「論理的に関連のあるアクティビティの集合。通常,主要な要素成果物の完了によって終了する」と定義しています。

 ウォーターフォール型開発プロセスでソフトを開発する場合,「要件定義フェーズ」「外部設計フェーズ」「内部設計フェーズ」というように区切りますよね。それと同じ考え方です。ウォーターフォール型の各フェーズでは,要件定義書や外部設計書,内部設計書といったドキュメントがアウトプットされますが,これが,PMBOKでいう「主要な要素成果物(Deliverables)」です。

 PMBOKには,「フェーズは要素成果物の完成や承認によって特徴付けられる」とあります。つまり,フェーズの要素成果物が完成し,シニアマネジメント(プロジェクトについての意志決定権を持っている人)の承認を経て,次のフェーズに移行するのです。

 プロジェクトの最初から最後までのすべてフェーズのことを,「プロジェクトのライフサイクル」と呼びます。もちろん,どのようなフェーズに区切るかは,それぞれのプロジェクトの特性によって異なります。