IPネットワークを使って音声通話を実現するVoIPに欠かせない機器が,VoIPゲートウエイとIP電話機である。いずれも,音声をIPパケットに変換する役割を果たす。
IP電話機は機能が多彩
VoIPゲートウエイは,従来のアナログ電話機からの音声をIPパケットに変換し,IPネットワークに送出する機器である(図10)。VoIPゲートウエイを使うと,PBXや企業用のアナログ電話機といった既存の電話設備を使ってVoIPを実現できる。初期導入コストを抑えつつVoIPを実現したい場合に使われる機器だ。音声データのばらつきを解消して音声の途切れをなくす機能などを持つ。
一方のIP電話機は,IPネットワークに直接つないで使う電話機である。通話相手を呼び出す呼制御機能を提供するIP-PBXや,SIP(シップ)やH.323対応のサーバーと一緒に利用し,内線電話網を完全にIP化できる。
たいていのIP電話機はLANポートを二つ持っており,一つを社内ネットワークに,もう一つにユーザーのパソコンをつないで使えるようになっている。こうすることで,音声とデータを同じネットワーク上に流せる。
ただし,ネットワークに大量のデータが発生すると,音声パケットの流れを邪魔してしまって音声品質が低下する。そこでIP電話機は,音声データを運ぶMACフレームにVLAN情報を付加したり,IPパケットに優先度情報を付けて送り出す機能を持っている。逆に,パソコンからのデータには何も優先度情報を付けないで送り出す。
また最近は,無線LANを利用することでコードレス電話のように内線通話を実現できる「無線IP電話機」を利用する企業も増えてきている。