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写真●大島 宏幸氏 サンウエーブ工業 情報システム部長
写真●大島 宏幸氏 サンウエーブ工業 情報システム部長
(写真:中野 和志)

 現在、当社が取り組んでいるシステム再構築プロジェクトでは、工事進行基準を適用している。ソリューションプロバイダが進行基準を適用することにもちろん異論などない。

 だが、こちらは慣れていない。提案活動の段階で、契約の仕方やプロジェクトの進め方などについてきっちりと説明してほしかった。

 これまでシステム構築を依頼する場合、当社は一式契約を結ぶことが多かった。今回は、工事進行基準を適用するということで、フェーズごとに分割して発注することになった。

 分割発注するといっても、事前にプロジェクト全体の見積額を、ITベンダーからもらっていた。その金額に応じて、システム構築の予算を組み、役員会の承認を得ていたのである。

 ところがだ。フェーズごとに契約を見直すたびに、当初の見積金額より高くなっていった。ITベンダーの担当者が「前のフェーズで当初の見積料金をオーバーしたので、追加料金をいただきます」と言うのだ。

 なぜなのか。私の質問にITベンダーは、「プロジェクトの進捗状況と開発した成果物を精査したところ、料金の見直しが必要になった」と説明するだけだった。

 契約を結ぶたびに追加料金が発生したことで、予算を見直さざるを得なくなった。プロジェクトがある程度進んでいたこともあり、途中でやめるわけにもいかない。予算が超過すると分かったが、続行することに決めた。

 新しいプロジェクト開発予算は、なんとか役員会の承認を得ることができた。だが私は、社長から「嘘つき」と厳しい言葉を浴びせられた。コストを厳格に管理している当社にとって、このような事態は基本的に許されないことなのだ。

 もしかするとITベンダーが当初提示した見積金額が、よほどいい加減だったのかもしれない。だが、見積金額がほぼ妥当だとしたら、進行基準を適用する意味はどこにあるのだろうか、と思ってしまう。

 プロジェクトの進行状況に応じて、売り上げを計上するために、プロジェクトを細かなフェーズに分ける。これにより進捗度合いや原価の消化率などをきっちり管理すると聞いている。

 これなら、当初の見積金額を超過しそうかどうかなどが、これまでより素早く発見できるはずだろう。気付いたら、その時点で我々に相談してくれればいいのだ。

 こちらの都合で仕様を変更したり、追加したりすることはあるものだ。追加料金が発生しても、開発を依頼することもある。早く分かれば、予算なども調整しやすい。

 逆に、予算の都合で開発を見送る機能だって出てくる。いずれにせよ、プロジェクトの進捗状況に応じて、納期やコストの面から早めに手を打てる。このことが、ユーザー企業とITベンダーにとって、進行基準を適用することのメリットなのだと思う。こうした点をITベンダーはきっちりと説明すべきではないだろうか。

 いずれにせよ、今回のプロジェクトでは、進行基準を適用したことによる恩恵はまだ感じていない。工事進行基準の適用が主流になろうがなるまいが、ユーザー企業としてもっとスキルを高めないとまずいと改めて感じた。

 特に、システム構築費を見積もる力を磨く必要がある。ITベンダーの提示額をうのみにしたり、単に値引き交渉するだけでなく、妥当性を見極めるようになれば理想的だ。難しいことだが、これに向けて努力していきたい。(談)